僕たちはいつまでこんな働き方を続けるのか? (星海社新書)

著者 :
  • 講談社 (2012年4月26日発売)
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給料が少ないからと残業をしたり、成果を上げることはあまり意味がない。
面白い着眼点です。たしかに、成果や残業時間は、増減要因ではあるが金額自体を決めるものではないな。

【なるほどな点】
・「資本主義経済の中では労働者は豊かになれない」
・日本の給料は「必要経費方式」(社員が生活できる分の金額を給料として支払う方式)で決まる。
 必要経費方式では生活に必要なお金しかもらえない。どんなに努力して会社に利益をもたらしても、基本的に給料は変わらない。「努力の量」「成果」によって給料の金額が決まっているわけではない。
・商品の値段は、商品の持っている価値(材料費+賃金+経費)で決まる。
・資格手当はその資格をとるのに労力がかかっているから準備にかかった労力分として支払われている。
・給料は「明日も同じ仕事をするために必要な一般的な金額」しかもらえない。=必要な金額が少なければ儲かる
・労働者の給料は、労働者が生み出した価値とは無関係に支払われていて、労働力の再生産コスト分が支払われている。
・企業が利益を得るためには、労働者に「自分の労働力以上の価値」を生み出させなければならない。
・「ぼったくり」とは「使用価値」(利便的価値)があるから買ってしまうが、「価値」(原価的価値)がないから納得感がないことをいう
・本は紙の束ではなく情報を買っているはずであり、その点では電子書籍でも通常の本でも同じ使用価値がある。
・労働者の自己内利益=年収・昇進から得られる満足感-必要経費(肉体的・時間的労力・ストレス)
・管理職になり、自己利益が減るのであれば、「現状」を好むほうが合理的
・年収の増加、昇進など「かつて目指していた場所」に実際たどり着くと、満足感は消えてしまう。=自己利益は必要経費の増加分減ることになる。
・一度あげてしまった生活水準は下げられない。
・世間相場よりストレスを感じない仕事を選ぶ。ただし得意な仕事・好きな仕事を選べばいいというものではない。興味を持てる仕事を選ぶ。
・単に残業したり、ノルマを達成しようとがんばるのは「あとに残らない努力」。同じ努力をするならそもそもの労働力の価値を上げる努力をする。
・労働力を「投資」する。自分の労働力の価値を上げるための仕事の積み上げをする。「長期的な資産(自分の労働力の価値)を作る仕事に目を向ける」
・仕事のやり方や知識、技術がどんどん移り変わるような職種では「過去の積み上げ」が評価されにくい。
 賞味期限が長い知識・経験:会計の知識、営業力、人脈など
・商品(労働力を含む)の値段を高く認めてもらうためには、その商品に「価値」と「使用価値」の両方がなければならない。
・賞味期限が長く、身に付けるのが大変で、高い使用価値のある知識・経験をコツコツ積み上げる
・資産を使って稼いでいる人=「妥当な成果を出さずにお金をもらっている」のではなく、過去からの積み上げを使い、「その日」の労力を使わずに稼いでいる。
・資産を作る仕事を今日はどれだけやったか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2021年8月21日
読了日 : 2013年8月30日
本棚登録日 : 2018年11月18日

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