バカのための読書術 (ちくま新書 280)

著者 :
  • 筑摩書房 (2001年1月1日発売)
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感想 : 76
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この本は、速読術ではなく、どういう本を読めばいいのかという読書術の本です。
「ここで読者に想定しているのは、いちおう学校を終えてしまって、しかしただのベストセラー小説を読んで生きるような人生に不満で、けれど難解な哲学書を読んでわからないという人たちだ。」というように、若干向上心がある人向けでしょうか。

【参考図書】
・読書家の新技術(呉智英)
・知の欺瞞(ジャン・ブリクモン)
・悪女論(田中貴子)
・英文解読術(行方昭夫)
・スカートの下の劇場(上野千鶴子)
・パラサイトシングルの時代(山田昌弘)
・朝日新聞記事に見る恋愛と結婚
・天と地と(海音寺潮五郎)
・赤人の諦観、など(梅原猛)

【引用】
もっとも、初学者の場合、要約の訓練としてカードを取る、というのはいいかもしれない。(P43)
週刊誌は、たまたまその雑誌のその号を買っただけであって、やり方が行き当たりばったりではないか、つまり、システマティックではないのではないか、と。気にすることはない。情報などというのはどうせランダムにしか入ってこないのだから、たまたま入っってきた材料から最大限の情報を引き出せばいいのだ。(P51)
辞書類はたいてい古本屋できれいなのを売っているから、あまり新刊書店で買わないほうが節約になる。(P58)
とにかく、新書版なら信頼できるだろうとかわかりやすいだろうとかいう考えは捨てなければけない。(P65)
(わかりやすい入門書で文章としても面白いというのはなかなかない。)そこで、一つの方法として、文庫版などに付いている「解説」を利用する、という手がある。(P67)
結論から先に言うと、岸田(秀)や河合(隼雄)の本は、いくら面白くても、とうてい「学問」あるいは「科学」の何は値しない。ユング心理学は、たしかにスイスに研究所はあるが、アカデミズムの世界では、ふつう学問として認められていない。オカルトなのである。(P78)
つまらない本は出たときに絶賛されても、一、二年でたいてい誰も口にしなくなる。一、二年たってもまだ評判がよかったら、その時読めばいい。(P103)
書評よりも、一番の近道は、自分が興味を持った本のなかで触れられている本を読むこと、あるいは自分が興味を持った著者が挙げている本、ないし友人に勧められた本を読むことである。(P104)
とにかく、司馬遼太郎だろうが大河ドラマだろうがマンガだろうが、何を使ってもいいから歴史の大筋は知ってもらいたい。(P138)
たとえばテレビのワイドショーとか低級なお笑い番組とか、ああいうものをあまり見ていると確実にバカをこじらせる。(P156)
飛行機にはファーストクラスからエコノミークラスまであるし、新幹線等はグリーン車がある。ああいうのは実は、サーヴィスの良し悪しとか座席の広さなどより、マナーの悪い下等乗客の姿を見ずに済ませるための装置なのである。(P174)
私自身が研究者として生きてゆき、いくつかの論争的な出来事に関わった結果「事実」を根底に据えなければ個々人の主観だけがぶつかり合い、合意は得られず、暴力の介入を引き起こすしかない、と考えるに至ったからだ。(P176)
「本当のことなら何を言ってもいいのか」という人もいよう。なるほど、特定の個人や団体を不当に傷つけるような事実は、言わないのが礼儀というものだろう。しかし、「美人は得である」とか、「女といってもいろいろである」とかいう事実は、その種の事実ではない。(P180)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 本・雑誌
感想投稿日 : 2020年9月12日
読了日 : 2014年9月7日
本棚登録日 : 2011年8月21日

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