彼らは世界にはなればなれに立っている (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2023年8月24日発売)
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感想 : 29
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ファンタジーを通して、読者に提示するテーマが重く、なかなか光が見えないことが苦しい。

私はこれを読んでいて、ライトノベルの『キノの旅』や『86』をふと思い出した。
一つの国や街の中で起きる、「持つ者」と「持たざる者」の構造。
この話でも、「羽虫」と呼ばれる余所者であるかどうかで、生き方や生きやすさが大きく変わる。
そのことに諦めを抱いているのは「羽虫」側の人々だけで、その構造を当然としている人たちにとっては見えないも同然だ。

そこに亀裂を入れようと立ち上がる者が、さて、どうなるか。

先に二つのタイトルを挙げたのは、この、一見どうにもならない「構造」に向き合い、安易な解決ではない、でも小さな光を見い出そうとしているからだ。

私たちには、解決の容易ではない問題が数多く横たわっている。
だから、作品から見えた光を、手元に移し、また自分が生きていく中での、考え続ける中での、燈にするのではないか。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2023年
感想投稿日 : 2023年9月3日
読了日 : 2023年9月3日
本棚登録日 : 2023年9月3日

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