ファンタジーを通して、読者に提示するテーマが重く、なかなか光が見えないことが苦しい。
私はこれを読んでいて、ライトノベルの『キノの旅』や『86』をふと思い出した。
一つの国や街の中で起きる、「持つ者」と「持たざる者」の構造。
この話でも、「羽虫」と呼ばれる余所者であるかどうかで、生き方や生きやすさが大きく変わる。
そのことに諦めを抱いているのは「羽虫」側の人々だけで、その構造を当然としている人たちにとっては見えないも同然だ。
そこに亀裂を入れようと立ち上がる者が、さて、どうなるか。
先に二つのタイトルを挙げたのは、この、一見どうにもならない「構造」に向き合い、安易な解決ではない、でも小さな光を見い出そうとしているからだ。
私たちには、解決の容易ではない問題が数多く横たわっている。
だから、作品から見えた光を、手元に移し、また自分が生きていく中での、考え続ける中での、燈にするのではないか。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2023年
- 感想投稿日 : 2023年9月3日
- 読了日 : 2023年9月3日
- 本棚登録日 : 2023年9月3日
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