この本を読む前に、佐伯啓思の『日本の愛国心』を読んだ。
その中で、姜尚中と藤原正彦について少し触れていて、随分前に借りたこの本の存在を思い出したのだった。
タイトルほど脅迫的な内容ではなく、緩急取り混ぜた構成になっている。苦しくなってきたら笑わせてもらい、緩くなってきたらピシッと説かれるような話の並べ方が上手いと思う。
さて、自分の読書棚を振り返ると、『遥かなるケンブリッジ』と『日本人の矜持』が入っていた。
藤原正彦はもっと読んでいるイメージがあったのだけど、意外。(そろそろ『国家の品格』読まなきゃね。)
経済界が教育に侵攻してゆくことへの嘆き、英語が出来ることと日本が発展することは違うということ、読書をすることで長期的展望を手に入れられることを繰り返し述べている。
藤原正彦の満州引き揚げ体験は、壮絶。
生きて帰ってこれたことが、すごい。母強し。
でも藤原ていより、先に新田次郎の「おとし穴」の話が読みたくなった(笑)
「「役に立たない学問」を軽んじるなかれ」は、タイトルから心惹きつけられる。
まあ、世の中は文系学部廃止の時代なのだけど。
科学の分野で日本人がノーベル賞を取ることと、日本の風土は本当に無関係だと言えるのか。
藤原正彦の活躍と愛郷心に触れていると、そこにはきっと関係があるように、思う。
ちなみに、小川洋子『博士の愛した数式』の解説も収録されていて、二人の感じがよく出ている解説を改めて読んでにこにこした。
読み終えて、手元に置いておきたくなったので、自分でも一冊買おうと思う。
- 感想投稿日 : 2016年3月30日
- 読了日 : 2016年3月30日
- 本棚登録日 : 2016年3月30日
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