浸ったー。印象的な作品をピックアップ。
「温室の友情」
なんでも話し合える女同士の友情、なんて存在するだろうか?(「桃のプライド」である種のアンサーが見える気がしているけど)
一方で女同士だから出来る暗い仕打ちは、なんとなく分かる気がする。「嘘」は分からなければ「嘘」足りえない。そういうの、好きだけどな。
「海辺の先生」
お気に入り。
スナックを営む実家に嫌気がさして、東京の大学を目指す美優。一度はお客さんとしてやって来た「先生」との、夜の勉強会。
もっとドロドロとするのかと思いきや、母と娘の対峙は爽快で、良かった。
そういえば「温室の友情」でも「分かってないのに分かった気でいる」母の呪いが描かれていたなぁ。
女に変わる母も怖い。
娘と化す母も怖い。
「幸福な離婚」
これも好きー。
息がピッタリと思うのに、お互いがそこにいるように思うのに、すれ違いきった二人は、目の前に別れの日付を置いている。
あと四ヶ月半。
二人はどうなるだろう。どうもならないだろうか。
漫画を読んでいるように、切なくなる。
いなくなると分かって、切実に大切に感じることは偽物の気持ちなんだろうか。
「描かれた若さ」
これが最後に収録されているのが。すごい。
オジサンが女子高生に罵られながら、見られ、描かれ、知り尽くされる。なんだこの、世界。でも、描かれることの真実さ、怖さが、よく伝わってくる。
ふと『騎士団長殺し』が蘇った。やっぱ怖い。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2021年
- 感想投稿日 : 2021年5月8日
- 読了日 : 2021年5月8日
- 本棚登録日 : 2021年5月8日
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