「知の技法」入門

  • 河出書房新社 (2014年10月15日発売)
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感想 : 24
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本家と並行して読んでたら、面白くて先に読み終えてしまいました。
小林康夫氏だけが著者名に上がってますが、大澤真幸氏との対談だから、二人の名前があった方がいいと思うんだけど。

第1章 「人文書」入門
なぜ本を読むのか。
「本は言葉が重みをもって、そこに凝集して存在している状態」という言葉から始まるのだけど、読み終えても、印象に残っている。

情報ではなく本として遺すことの重さ、でも書いている人も実は「分かっていない」部分がある。
伝えたいことと、読み手が受け取ることのギャップの中に「奇跡」という世界が現れる。

第2章 「読書の技法」入門
どうやって本を読むのか。
面白かったのは、専門家が作った?用いた?用語を、自分なりに咀嚼して置き換える方がいいのか。
それとも、簡単に自分の言葉に置き換えてしまわず、時を待つ方がいいのか。
二人の意見が分かれていて、どちらの言いたいこともよく分かる。

私は、すぐに理解出来ない、使いこなせなくても、その人の持つニュアンスを咀嚼する時間そのものに価値を見出していく考え方のほうが今は好き。

第3章 誰にもわかる「実存主義•構造主義•ポスト構造主義」
急に具体に入っていったので、ちょっとしんどかった章。
ただ、人間の主体を考えた時、言葉も生活も既に出来たものを間借りしているだけなのに、主体って言えるの?という意味は分かる。

もう少し進んで、欲望する機械としての人間という辺りは、今の自分の問題意識と関わってくるから勉強したい。
皆が皆、主体だ自由だとやっていくと、結局は他者の主体性や自由を否定することに繋がるのでは、と述べる。でも、単にそこで主体性を放置してしまうと、欲望だけが勝ってしまうんじゃないか、そんな気がしている。

第4章 自然科学と人文科学のインターフェース
数学的な考え方があることで、経験は出来なくても展開できる世界?がある。(安易に世界とか言っちゃったけど)
ちょうど√2の話に触れた所だったので、なるほどと思わされた。

マイノリティが飛躍的な秩序の変化を起こす可能性を持つことの、マジョリティの根源的恐怖と排除。
この部分も、頭に留めておきたいと思った。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2022年
感想投稿日 : 2022年1月14日
読了日 : 2022年1月14日
本棚登録日 : 2022年1月14日

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