吉本隆明をちゃんと読むのは初めて。
私も「門」が好きだー。ただ、平凡さと言うより、門を前にした時のやりきれなさみたいなものが、好きなんだけど。
夏目漱石とトルストイの三角関係を挙げるのだが、『アンナ•カレーニナ』は体制や体裁への反発からの悲劇と読めたけれど、『それから』にしても『こころ』にしても漱石は漱石自身に向かい、迷い込んでゆく。
武者小路の『友情』もそれはそれで好きなんだけど、やっぱり違う。
外ではなく、内へ向かい、なのに有ではなく、無に向かうのは日本人の心性なのだろう。
この辺りは一つ前に読んだ佐伯啓思が私の中でパンチを効かせていて、科学の進歩が不安を与えるとか、自分の外に絶対的なものを置くことが出来ない辛さなんかは、よく分かる。
そうした中で己の立ち位置を観ざるを得なかった時代性が伺えた。
この一冊から、作品に寄り添う手がかりがあって、こうやって誰かの手から見通してみることも面白かった。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
2014年
- 感想投稿日 : 2014年12月20日
- 読了日 : 2014年12月20日
- 本棚登録日 : 2014年12月20日
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