解説に、パラレルワールドの定義について書かれてあって、まさかシュレーディンガーの猫に繋がるとは思っていなかった。
生きているか、死んでいるか、箱を開けるまでは未確定の事象。
それは、生きている世界Aと、死んでいる世界Bの共存とでも言うのだろうか。箱を開けた瞬間に、世界は決まる。
さあ、どちらに?
この作品では、そんな生きている世界Aと、死んでいる世界Bの両方を観測し得る存在が登場する。
作者が「東日本大震災を対象とした英語によるチャリティアンソロジーのために執筆した」と書いているように、豪雨と地震によってダムが耐えきれず壊する所から始まり、人々は深く傷つく。
観測者の可能性という点では、この話はよく作られているのだけど、未曾有の大災害の中で、世界軸さえ狂ってしまった現実として読むならば、もっと違ったスポットの当て方もあったのかなとも感じた。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
2019年
- 感想投稿日 : 2019年9月16日
- 読了日 : 2019年9月16日
- 本棚登録日 : 2019年9月16日
みんなの感想をみる