将棋であった泣ける話 (ファン文庫Tears)

  • マイナビ出版 (2021年9月13日発売)
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感想 : 1
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将棋界隈で何度か宣伝されていた本だったので、気になって購入。

5分で読める「泣ける話」っていうのもナンだかなぁという初手(笑)
そして将棋の駒が名前に冠されているのは、将棋小説あるあるなんだろうか。

個人的に印象的だったのは「勝ってくれ」。
この話は「百折不撓」から始まる。
それだけでニヤリとする人が多くいると思う。
最年少棋士が中年の星からタイトルを奪取したあとの、NHK杯での一局が、ストーリーの背景に流れ続けている。

5分で読めるお話に含まれた、見えない所にある深い想いと物語。素敵な構成だと思う。

もう一つは「小さな森で眠る鳥たち」。
曾祖父が取った駒を使わなかった意味と、孫たちが遊ぶ「どうぶつしょうぎ」の愛らしさが、こんな風に重なってくるのか!と、最後は驚かされる。

ゲームとしてだけではなく、そこから棋風や思想を見出すことの意味。
「盤上の物語」という言葉にワクワクさせられた私にとっては、棋士が織りなす一局から目が離せなくなる理由は、きっとそういう所にあるのだろうなと感じている。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 2021年
感想投稿日 : 2021年9月19日
読了日 : 2021年9月19日
本棚登録日 : 2021年9月19日

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