臨場感のある言葉のやりとりは怒涛の疾走感を醸す。あっという間にページを進ませる。身勝手で切れやすく暴言、暴力を振るいながら、それでいて臆病な小市民で堕ちるに落ちられない。果てしないワンパターン。だけどおもしろい。彼の吐く暴言に、あ~言っちゃった~って思いながら、よくぞ自分の言いたいことを代弁してくれたとの拍手喝采を送りたいような爽快感も味わわせてくる。まあよくも悪しくも自分と一緒なのである。主人公の一挙手一投足が自分への応援歌のようにも聞こえる。何とも不思議な魅力を発散させる一冊である。
読書状況:読み終わった
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カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2012年6月30日
- 読了日 : -
- 本棚登録日 : 2012年6月30日
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