山亭ミアキス (角川文庫)

著者 :
  • KADOKAWA (2024年1月23日発売)
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本棚登録 : 401
感想 : 14

古内さんの作品は「マカン・マラン」シリーズを読んで良かったので、この作品を手に取りました。

心に悩みを抱えた人が迷い込んだ先には、森の中にある不思議な宿「山亭ミアキス」。
宿の中では不思議な従業員、絶品の食事はアイルランド料理。
この宿で不思議な体験をした人だけが次の人生への一歩へと導くという物語。

「山亭ミアキス」に到着し、怪しく不思議な雰囲気は
宮沢賢治の「注文の多い料理店」を彷彿されるような緊張とワクワク感がありましたが、「マカン・マラン」の時のような突拍子もないような衝撃度はやや少なかったと思います。

けれどどの主人公の心の悩みも現代を象徴しているような
内容だったので、この5人の中に心を動かされる人が
少なからず存在すると思いながら読んでいました。

帯には「日常を忘れて、おくつろぎください。」
と書かれているので、ゆったりと心を落ち着かせながら
読めるものだと思いましたが、日常は忘れますが、
違った意味で非日常が味わえるかと思いました。

やっぱり猫は一枚も二枚も上手で怖いなと思ってしまいましたが、悩みが少しでも消えるのならばこんな方法でも良いかなとも思えました。

猫の視線で人間観察をして人間に助言をしているという点も斬新だと思い、猫だからこそ厳しい指摘も許せるものだなと思いました。

猫の生態や古くからの物語などのエピソードも
織り交ぜてあったのでそれも興味深く面白かったです。

「助けたいものはお前ではない。声なき小さな者だ。」
という言葉が、古内さんが読者に伝えたかった事だと思うので、
今後はあらゆるものに対して声なき小さな者に
対して耳を傾ける心掛けをしていきたいと思いました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年3月27日
読了日 : 2024年3月27日
本棚登録日 : 2024年3月2日

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