月世界へ行く (新装版) (創元SF文庫)

  • 東京創元社 (2005年9月10日発売)
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感想 : 28
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SFの古典として語られることが多い本作ですが、実は2部作です。

1863年〈ジュルナル・デバ〉紙に、前編の『地球から月へ』を連載開始して1865年刊行。内容は、計画から大砲発射にいたる過程までの資金調達、弾丸設計、そして人選などです。後編の本作は、この前編の梗概を序章として『月世界へ行く』のタイトルで1870年に刊行されたもの。

あらすじは、アメリカ人2名とフランス人1名、そして犬2匹を乗せた砲弾が発射され、人類初の月世界へ旅立って行きます。この3人、月に向けて巨大な大砲から弾丸型の宇宙船で飛び出したまではいいのですが、流星とニアミスしたせいで月への軌道がそれてしまいます。彼らの宇宙船は、制御装置のないただの砲弾です。いったいどうやって月に着陸するか、どうやって地球に戻ってくるかと読み進めていると、誰も知らないことが発覚…いったい、彼らはどうなってしまうのでしょうか?というお話し。

こう書くと、アポロ13号のような緊迫したやり取りがあるかと思われますが、3人とも全く緊張感に欠けており、なるようになれといった感じ。
つまり、冒険小説に期待する、ワクワクとかドキドキする緊張感に欠けているのが残念です。

とはいえ、この小説は19世紀中頃の科学技術や天文知識を総動員して書かれており、後の世のSFに与えた影響を考えると、今後もSFの古典として語り継がれて行くでしょうね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2024年1月5日
読了日 : 2024年1月5日
本棚登録日 : 2024年1月4日

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