満洲鉄道まぼろし旅行 (文春文庫 か 29-1)

著者 :
  • 文藝春秋 (2002年7月1日発売)
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感想 : 8
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昭和20年までわずか12年で消えた満州国。残され多くの資料を元に再現された昭和12年のまぼろしの満州紀行。

実際のパンフ、書籍、チラシ、時刻表を元に復元された満州紀行。大連に上陸し、旅順、奉天、新京、ハルピン、チチハルなどを満鉄の誇る「あじあ号」などを乗り継ぎ巡る旅。

五族協和を目指した満州国。後の突然の崩壊が分かる我々の胸に迫るものがある。決して満州国を賛美するものではなく歴史的事実としてこのような国の存在した事実を残そうとする筆者の意図には共感したい。

ソ連の侵攻、日本の敗戦、満州国崩壊に伴う悲劇、そして本書には出てこないが満州に以前から住んでいたであろう人々の運命、楽しい紀行の影の歴史の暗い一面が浮かび上がる、着眼点の優れた一冊でした。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 歴史
感想投稿日 : 2020年7月3日
読了日 : 2020年7月3日
本棚登録日 : 2020年7月3日

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