禍家 (光文社文庫 み 25-1)

著者 :
  • 光文社 (2007年7月1日発売)
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本棚登録 : 548
感想 : 87
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事故で両親を失った12歳の少年、貢太郎が祖母と新生活を求めて東京郊外に引っ越すところから物語は幕を開ける。
初めて訪れた土地のはずが、祖母と二人では部屋を持て余すほどの新居を見た時、既視感を主人公の中を駆け巡る。

「この家知っている・・・」

不幸にも読者も同じく感じた不安感は的中し、家に一人でいるときに限り、数々の怪異が貢太郎君を襲う
(真相が明らかになるまでおばあさんを疑っていました。ばあちゃんごめんよ・・・)

1)お風呂場で響く赤ん坊の泣き声 (一番怖かった、髪を洗う時は目をあけるようになるほど)
2)四つん這いに迫る首無し
3)襖から掴みにくる老人の手
4)首から血が噴き出る男性

の怪異を経て、何かと面倒見がよい同い年ご近所少女、礼奈と礼奈が慕うセクシー霊能お姉さん、シミちゃんの3人で主人公と化け物屋敷の関係性を暴く方向に話は展開する。

真相は・・・・

十年前、例の家で一家惨殺事件があり貢太郎が唯一の
生き残り。家で目撃されていた幽霊?はどれも事件で命を奪われた主人公の家族。貢太郎を一目見たくて、また貢太郎の置かれている危険な状況を知らせたいが為に亡くなった家族が化けて出てきたと思うと涙ぐましい。
警告するにも幽霊は容赦がなく方法など選べないなあとふと思ってしまった。

簡素にまとめると、人喰い森に住む神を祀った没落した名家の兄妹の身勝手な行動に振り回された貢太郎の受難
記録だった。結局、森に潜む影の謎は解き明かされず
悪霊に関しては読者にゆだねられる形で幕は閉じた。子供を餌食にする悪霊、家を彷徨う亡霊よりはるかに恐ろしいのは狂気に駆られた人間というメッセージを受け取りました。

最後に・・・司君の伏線がp50辺りで貼られている。自分が思っていた以上に貢太郎君は追い詰められているよ・・・・南無~ (ハッピーエンドは期待できないな)

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2019年8月4日
読了日 : 2019年8月3日
本棚登録日 : 2019年8月3日

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