十角館の殺人 <新装改訂版> (講談社文庫)

著者 :
  • 講談社 (2007年10月16日発売)
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感想 : 3203
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こちらも約20年ぶりの再読。
古典的名作、的なものをたまーに読みたくなります。

内容についてはネタバレしちゃう気しかしないので割愛するとして、気になる点が2点あったのでつらつらと。

まずは、こちらはアガサ・クリスティーの超有名作「そして誰もいなくなった」のオマージュ作品ということは知っていましたが、わりと当作品の重大なネタバレ描写があります。
「そして〜」の方も近々読むつもりだったのでちょいと残念…どちらも読むつもりの方は順番が逆の方が確実によきですね。

それならニヤリとできる共通点があったりして楽しめるのかなー?

そして2点目。
この作品は初版が1987年に刊行されたらしいんですが、いま読むと当時の性別役割分担への違和感がすごくてある意味新鮮。

ある男性登場人物が女性キャラクターに「コーヒーが飲みたいな。淹れてくれよ」と当然のようにお願いするシーンがあるんですが、女性側も「わかったわ。みんなも飲むでしょ?」的にあっさり受け入れるんですよね。

当然、全員分の食事も女性が作って当たり前的な風潮で。

何より驚いたのが、何人か殺されたあとキッチンにこの女性ともう一人男性がいる、という描写があったんですが、「そーよね!一人でみんなの食事の準備なんて絶対大変やからこの男性が手伝ってるんやな」と思ったら、まさかのこの男性は女性が食事に毒を入れたりしないための見張りで。
見張りってなにさ…

この女性はそのグループ内では姫的立ち位置として描かれるんですが、こんなん全然姫ちゃうやん召使いやん…。

約20年前に読んだときの感想は覚えてないけれど、たぶん今ほどは違和感なく受け入れてたんじゃないかなー?
そう考えたら時代は動いてるね!

なーんて思ってたら、2007年に刊行された新装改訂版あとがきで作者の綾辻さんも同じことに触れられていました。
15年前でも違和感のある描写だったのね…それなら令和の今なんて違和感てんこもりなはずだわ。

内容としては、ミステリというエンタメ作品としてはさすが!という感じで、十分に楽しめました。
ただ、読後に面白かった!以外の感想がこれと言って出てこないのが少し物足りないような気も…?

もちろん名作と言われるだけの作品ではあるので、このへんは完全に好みの問題なんだと思います。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年8月20日
読了日 : 2022年8月20日
本棚登録日 : 2022年8月20日

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