農場の少年―インガルス一家の物語〈5〉 (世界傑作童話シリーズ)

  • 福音館書店 (1973年11月10日発売)
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感想 : 12
5

大きな農場の次男坊、アルマンゾの物語。『大草原の小さな家』ローラの未来の夫でもある(が、どうやらまだ出会っていないようだ)。
農場の生活が細かく語られる。動物の世話にしつけ、畑の手入れ、織物縫い物、バター作りにろうそく作り、氷の切り出し、丸太運び、その他もろもろ。家族は夜討ち朝駆けで働く。仕事量だけでなく技術も高く、何でもできるゼネラリストだ。アルマンゾは両親から多くのことを学んでいる。働くことの喜びや誇らしさ、確かな手技、金銭とは労働の対価であること、など。早く一人前になりたくて、懸命に働く。これでまだ8歳!
初めて、「アメリカってやっぱりすごい国だったのかも」と思った。こんな人々が下支えしているのだから。
しかしこの物語のなかですでに、人々は土から離れ始めている。アルマンゾのいとこは町の子だし、兄は農家を継ぐ気がないのだ。だからこそ、アルマンゾが一心に父の背中を追う姿に心動かされる。いや、あられもなく感動してしまった。ローラにはまさに似合いの伴侶である。
ラスト近く、アルマンゾの父親が農家の仕事について、「自由で自分の思い通りに生きていける」と話す部分がとても印象的だった。この「自由で思い通り」には、「無責任で自分勝手」というニュアンスはみじんもない。真に自由で誇り高い大人の言葉だ。かっこよすぎる。(そして、とてもまねできない…)。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 児童書
感想投稿日 : 2012年8月29日
読了日 : 2012年8月29日
本棚登録日 : 2012年8月29日

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