マンモスの抜け殻

著者 :
  • 文藝春秋 (2021年12月8日発売)
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本棚登録 : 378
感想 : 47
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毎回、様々な社会問題を描く作者。
今回のテーマはアフターコロナの介護業界の闇。
巨大団地で起きた介護施設経営者の殺人事件。
捜査一課でかつてその団地に住んでいた刑事と、経営者の施設で働くヘルパー、現在は女性実業家となった幼馴染3人を軸に事件解決だけでなく、介護の現場のブラックな勤務体系や診療報酬の水増し、昭和の時代にこぞって建てられたマンモス団地の現在から貧困の問題まで、盛沢山に描かれている。
事件そのものは、犯人が明かされてみれば、もっと早い段階で気づかないものなのか・・・と思うぐらい、引っ張っている感は否めない。
しかし、主人公3人の幼少期の貧困の様子は自分の幼少期に重なるし、巨大団地の過疎化は現代社会の象徴であり、介護の問題はもはや全く関係ない人などいないのではないかと思うぐらい、次から次へといろいろなことを考えさせられる内容だった。
ベースを警察小説にしているので、最近の作者の作品の中ではページ数の割には読みやすかったけど、少し詰め込み過ぎだったかなぁ。
もっといろいろ分けて作品にしても良かった気がする。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 微妙・・・
感想投稿日 : 2022年5月30日
読了日 : 2022年5月30日
本棚登録日 : 2021年12月11日

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