富士山を望む町で介護福祉士として働く日奈と海斗を中心に、どこかちょっとずつダメな人間模様を描く。
物語の始まりは24歳。そのせいか、冒頭は年上の男に溺れていく日奈の性描写から始まる。そして、章ごとに日奈、海斗、海斗の同僚でシングルマザーの畑中、日奈が人生で初めて恋をした宮澤の視点で物語は紡がれる。
それぞれがみんな上手く生きられない。そんな人生にどこか投げやりで、年を重ねるごとに疲弊していく様子の描写が実に上手い。
この作品を読んで、「ふがいない僕は空を見た」を思い出した。この作家さんを好きになったきっかけの作品で、その頃の良さも維持しつつ、高齢化社会だったり、介護職の仕事のきつさだったり、社会問題にもきちんと触れており、すごく感銘するわけでもないけれど、じわじわ心に残る良作だと思う。
いっぱい遠回りをした後のラスト。希望が見えた気がする。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2018年4月21日
- 読了日 : 2018年4月21日
- 本棚登録日 : 2018年3月16日
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