劇場の迷子―中村雅楽探偵全集〈4〉 (創元推理文庫) (創元推理文庫 M と 2-4 中村雅楽探偵全集 4)

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  • 東京創元社 (2007年9月28日発売)
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鷹揚な「千駄ヶ谷の小父さん」が、意外な〝童心〟をのぞかせる「中村雅楽探偵全集」第4巻。77年から91年にかけて発表された28篇が収録されており、これで「中村雅楽」が登場する短編はすべて出尽くしたことになる。

事件は、劇場やその近辺に生じるいわゆる「日常の謎」がすべて。血なまぐさい殺人などいっさい起こらない。戸板康二の関心は、劇的な事件そのもよりも、歌舞伎役者ら劇を演ずる人間の心の内側のドラマに迫ることにあったのかもしれない。

この第4巻であたらしいのは、若き編集者「関寺真知子」がひんぱんに登場し、中村雅楽にさまざまな影響をあたえるところ。わずか3ページ強で、二人の役者が重ねてきた長い歳月を読者に感じさせる「銀ブラ」、失意の雅楽のために竹野がひと肌ぬぐ「おとむじり」など、これまで以上に地味ではあるが味わい深い小品が並ぶ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2013年10月21日
読了日 : 2013年10月21日
本棚登録日 : 2013年10月21日

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