新装版 竜馬がゆく (8) (文春文庫) (文春文庫 し 1-74)

著者 :
  • 文藝春秋 (1998年10月9日発売)
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竜馬が奮闘した大政奉還が実現し、徳川幕府の時代が終わり、新しい時代の幕が開ける…

あぁ、ついに終わってしまった!
読み終わった私は完全に竜馬のファンになっている。
倒幕の後の地位や名誉を当然気にする人たちの中で、ここまでやっておきながら大政奉還の後は全てを他の人に任せて自分は世界の海に出ると言う。
かっこいい〜〜かっこよすぎる!!

権力に媚びず、人を見る目を持って仲間を増やし、大胆に行動する。竜馬の器が大きくて、時に些細なことでクヨクヨしたりイライラしたり悩んだりする自分がとてつもなくちっちゃな人間に思える。

「しかない、というものは世にない。人よりも一尺高くから物事をみれば、道はつねに幾通りもある」

「仕事というものは、全部をやってはいけない。八部まででいい。八部までが困難の道である。あとの二部はたれでも出来る。その二部は人にやらせて完成の功を譲ってしまう。それでなければ大事業というものはではない」

「人の跡を慕ったり人の真似をしたりするな。釈迦も孔子も、シナ歴朝の創業の帝王も、みな先例のない独創の道をあるいた」


司馬遼太郎の文章にも痺れる。

「この長い物語も、おわろうとしている。人は死ぬ。
竜馬も死ななければならない。その死の原因がなんであったかは、この小説の主題とはなんのかかわりもない。筆者はこの小説を構想するにあたって、事をなす人間の条件というものを考えたかった。それを坂本竜馬という、田舎うまれの、地位も学問もなく、ただ一片の志のみをもっていた若者にもとめた。
主題は、いま尽きた。
その死を詳しく語ることは、もはや主題のそとである。
竜馬は、暗殺された。」

この後に竜馬暗殺の場面も描かれているが、竜馬らしい潔い最期に泣けてくる。
竜馬を暗殺した人、なんてことしてくれるんだ!!と思わずにいられない。
竜馬がここで暗殺されていなかったら新しい時代にどんなことを成し遂げたのか。
今、この現代に竜馬が生まれていたら、竜馬は何を成すのか。

文句無しに面白かった。
本棚の永久保存版にしよう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年6月28日
読了日 : 2015年9月3日
本棚登録日 : 2022年6月28日

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