天才的な解錠の技術を身に着けてしまった少年のピカレスクロマン。状況に流されているようで、自らの意思で判断し、ぬかるみにハマっていく。見ていてつらい気持ちになる。ピカレスクロマンでもドードマンダーのような明るい結末が待っているならいいが、不幸に終わるのは勘弁してほしい。面白くないから読めないのではなく、つらくなるのが嫌で読み続けるのを断念しようかと思った。しかし、巻末の解説にあるように後半から目が離せなくなり最後の方は悲劇を覚悟で一気に読んだ。
そう、青春小説でもある。世の中に流されているような、流れに逆らうような、ふらふらした少年の成長。良い見本なのか悪い見本なのか。解説によると、ヤングアダルトへの推薦本に与えられる全米図書館協会の賞を獲っているらしい。読んでいる途中で『魔の山』か『車輪の下』を読みたいと頭に浮かんだのもうなずける。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
novels
- 感想投稿日 : 2022年8月28日
- 読了日 : 2022年8月28日
- 本棚登録日 : 2022年8月28日
みんなの感想をみる