天才として人格のどこかでは孤独を感じる真賀田四季と、同じく天才の犀川・両親の死から天才としての成長に歯止めがかかっていた天才の萌絵、という構図でいいのかな。
犀川と萌絵は「出会ってしまった天才同士」として二人寄り添って生きていくんだろうな。キテレツな萌絵に振り回される犀川という構図がこれまでの典型だったけれど、「もう懲りただろう?僕に」というセリフで実は犀川の方が凡人のわたしたちから見てはちゃめちゃな人だったっていう…?でもいつでも犀川は萌絵の危険を察知しては思考を放棄して飛んでいってるし、萌絵も「いいえ」と答えているから、お互いの存在が飛躍して分裂していく思考をとどめてくれる安全装置となっているのかも。とにかく、性愛に縛られない魂のつながりをもつ男女といういかにも理性的で人間らしい愛の形を描写しきってしまう作者の頭の良さがすごいかも。
あと、この作家さんは死生観だったりノスタルジイを少し匂わせることが多いけど、「有限の生と微小の死」という単語がこれまたいい。また始めから読み直したい〜❗️
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- 感想投稿日 : 2022年5月29日
- 読了日 : 2022年5月25日
- 本棚登録日 : 2022年5月25日
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