ローマ人の物語 (11) 終わりの始まり

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  • 新潮社 (2002年12月11日発売)
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マルクス・アントニウスの治世は、洪水と飢饉、アルメニアを巡るパルティア戦役、ゲルマン戦役、カシウスの謀反、第二次ゲルマン戦役と問題が噴出した。マルクス・アントニウスは皇帝の職務を真摯に誠実に果たし、それまでは属州経験も軍事経験もなかったが、経験豊かな専門家の意見を公平に聞いてある程度適切に問題に対処した。しかし200年以上ぶりにリメスを破られたことも事実であり、これはアントニヌス・ピウス時代から皇帝を始めとする元老院階級で属州経験がなくなり、問題の発生を予防する打ち手がプロアクティブになされなかったためとも言える。
マルクス・アントニウスの実子であるコモドゥスの登場で5賢帝時代は終了し、ローマ衰退の時代に入る。実の姉の暗殺計画以降、疑心暗鬼になって粛清を繰り返すようになり、国政を顧みず公正で適切な人材登用が行われなくなった。結果コモドゥスは暗殺される
コモドゥス死後、すぐペルティナクスが皇帝となるが近衛兵によって暗殺されてしまい、彼らはユリアヌスを皇帝に推挙する。その後、各軍団がそれぞれ皇帝を推挙するが、ドナウ川防衛線からの支持を得たセプティミウス・セウェルスが首都に入りユリアヌスが殺され、近衛兵を解散したあと、ニゲルとアルビヌスを倒し皇帝となる。セプティミウス・セウェルスは軍団を権力基盤として、給料の増額と軍務中の妻帯を認めてその地位を向上させた。
・マルクス・アントニウスの人気には、自省録の存在と騎乗像の存在も無視できない。見えないものはないのと一緒なのだから
☆暗殺は事故のようなものだが影響は甚大。暗殺を許してはいけない

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
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感想投稿日 : 2021年11月4日
読了日 : 2021年11月3日
本棚登録日 : 2021年11月3日

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