映画で見て,「本当に,そんな結末なの?」と思って読んでみました。そんで,せっかくなので,訳:谷川俊太郎,絵:安野光雅のものを選んで…。もう一冊,違う翻訳本も横に並べながら,訳がどんなふうに違うのか比べたりもして…。
私的にビックリしたのは,ジュディのあしながおじさん宛の手紙(大学4年生時代の2月)に,サミュエル・ピープスの日記の引用が出てきたところです。サミュエル・ピープスは,17世紀の英国海軍大臣で,日記が有名な人です。人名辞典では,DIARISTと出てくるのが普通らしいです。
私はピープスのことを知ったのは,20年ほど前に自分が興味を持って調べていた「ロンドン王認学会=ロイアル・ソアイエティ」に関わってです。彼は,海軍のお偉いさんだけではなく,この王認学会の会長にまでなった人です。彼の日記には,彼の科学好きが分かる文章がたくさんあります。それらは,板倉聖宣編訳『ロンドン科学日記~S.ピープスの日記とロンドン王認学会の記録』(板倉研究室,1995年)で読むことができます。
話はそれましたが,『あしながおじさん』は,そのほとんどを「知らない人への手紙」という形をとって物語が進んで行くという,斬新な小説です。それなのに,単調さを感じることなく,主人公が大学生として成長していく様がしっかり伝わってきて,読んだあとにはなんだか透明感というか清涼感に包まれる感じです。
子どもの時に,読んでおけば,もっと違った人生だったかなあ…変わらないか。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
小説
- 感想投稿日 : 2021年8月30日
- 読了日 : 2021年8月30日
- 本棚登録日 : 2021年8月30日
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