著者であるイーライ・パリサーのTEDでの講演を聴けば、この本で書かれていることは大体分かる。それをもっと詳しく知るための本。
GoogleやFacebookのパーソナライゼーションが作るフィルター・バブル。私たちは、セレンディピティもなく、自分の趣味志向を補完し続けていく自分ループに陥り、しかも安易に娯楽として消費される情報しか届かなくなってしまう。さらにそれが自分だけでないために、反対意見に出会わない世界、例えば政治的には非常に危険な世界になってしまう。
編集権とパーソナライズ技術による情報の最適化はバランスが難しい。どちらも危ういものだ。だが、この本で出てくる「対話という形で、人は共通する意味のプールに参加する」という言葉が印象に残った。合意に向かう集会は少なく、時間の無駄に感じるかもしれないが、それによって達成されたコミュニティの中での納得感は、確かにとても重要だ。
「ネットバカ」を読んだ時に、初めてインターネットが発達してやってくる未来に危惧を覚えた。そしてこの本。
この本で書かれるパーソナライズという観点とは別に、コミュニティや仕組みとして、インターネットは閉じるべきではない・これまでのインターネットは開かれすぎであった、という議論がある。それがどちらが正しいのか、どちらに向かうべきかを考える上でも、大事なことが書かれている。
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- 感想投稿日 : 2012年8月31日
- 読了日 : 2012年8月31日
- 本棚登録日 : 2012年8月31日
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