共産党宣言 (岩波文庫 白 124-5)

  • 岩波書店 (1951年12月10日発売)
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共産党宣言
著:K・マルクス
著:フリードリヒ・エンゲルス
訳:大内 兵衛
岩波文庫 白124-5

1848年フランスの2月革命、オーストリア、プロイセンの3月革命をはじめ、ヨーロッパは諸国民の春と呼ばれる、「1848年革命」という転機を迎えていた それは、ヨーロッパをナポレオン以前に戻そうとする、ウィーン体制が崩壊した年でもあった。
2人のドイツ人である、マルクスとエンゲルスが、同年に発したのが、本書である、「共産党宣言」である

当時も産業革命を背景として、強欲な資本主義があって、その対極に、共産主義という概念が生じた
いわゆる二元論的な世界である

これまでは、ブルジョアが握っていた、社会資本を、共有化して、貧富のない世界にするというのが、本旨である そして、そのために、ブルジョアから政権を、プロレタリアが奪還するという革命の宣言なのである

気になったのは、以下です

■ブルジョアとプロレタリア

・今日までのあらゆる社会の歴史は、階級闘争の歴史である
・ブルジョア社会はいきなりできたのではない
・農奴⇒城外市民⇒大航海時代⇒マニファクチャラー⇒近代ブルジョア社会
・近代ブルジョアとは、封建社会の崩壊と産業革命が生み出した新しい支配層であることをいっている
・封建社会においては、圧迫された身分であり、自由都市にあっては、武装し、自治をもった組合をなした
・独立した都市共和国は、農村を取り込んで巨大化し、近代的代議士制国家を築く
・近代的国家権力とは、全ブルジョア階級の共通の事務をつかさどる委員会にすぎないといっている
・ブルジョアは、医師、法律家、僧侶らを特権階級から単なる賃金労働者に変えた
・これまでは変わることがなかった社会について、生産のたえまない変革、あらゆる社会状態のやむことのない動揺 永遠の不安定と運動が、ブルジョア社会の特徴である
・ブルジョア階級は封建制を打ち倒すのに用いた武器は、いまやブルジョア階級自身に向けられる
・それは、近代労働者の階級をいう
・機械の拡張、分業などで、労働者にとって機械の単なる付属物となったといっている 単純で、単調な、だれでも習得できるこつを要求されるだけになった
・全国に分散されている労働者が結集したものがプロレタリアである
・プロレタリアは、ブルジョアに対立する、ほんとうに革命的な階級である

■プロレタリアと共産主義者

・共産主義者の目的とは
 ①プロレタリア階級の形成
 ②プルジョア支配の打倒
 ③プロレタリア階級による政治権力の奪取
・私有財産の廃止をしようとするも、10人に9人については、既に廃止されているのだ
・個人的財産がブロジョア的資産に転化し得なくなる瞬間から、個人が廃止されたとみなされる
・労働者革命の第1歩は、プロレタリア階級を支配階級まで高めること、民主主義を闘いとること
・変革への手段
 ①土地収用を収奪し、地代を国家支出に振り分ける
 ②強度の累進税
 ③相続税の廃止
 ④すべての亡命者および反逆者の財産の没収
 ⑤国家資本および排他的独占をもつ国立銀行によって、信用を国家の手に集中する
 ⑥すべての運輸機関を国家の手に集中する
 ⑦国有工場、生産用具の増加、共同計画による土地の耕地化と改良
 ⑧すべての人々に対する平等な労働強制、産業軍の編成
 ⑨農業と工業の経営を結合し、都市と農村との対立を次第に除く
 ⑩すべての自動の公共的無償教育、児童の工場労働の撤廃

■社会主義的及び共産主義的文献

・封建的社会主義
・小市民的社会主義 小市民層 プロレタリアとブルジョアの間の階級層
・ドイツの社会主義、または、「真正」社会主義 フランス人の主張の下に哲学的空語をさしこむこと
・保守的社会主義 ブルジョアによる改良
・批判的・空想的社会主義 プロレタリア階級未発達時に現れる

■種々の反対党に対する共産主義者の立場

・共産主義者は、労働者階級の直接当面する目的や利益を達成するために闘う

フランス 保守的、急進的ブルジョア階級に反対して、社会主義、民主党に結びついている
スイス 急進派を支持する
ポーランド 農業革命こそ、国民的解放の条件
ドイツ ブルジョア階級が革命的に振舞うかぎり、共同して、絶対王制、封建的土地所有、小市民派と闘う

・共産主義者は、どこにおいても、現存の社会的ならびに政治的状態に反対するあらゆる革命運動を支持する
・これまでのいっさいの社会秩序を強力的に転覆することによってのみ、自己の目的が達成される

結論 万国のプロレタリア団結せよ

目次
ドイツ語版への序文
 一八七二年(マルクス・エンゲルス)
 一八八三年(エンゲルス)
 一八九〇年(エンゲルス)—— 一八八二年ロシア語版への序文(マルクス・エンゲルス)を含む
英語版への序文(一八八八年 エンゲルス)
ポーランド語版への序文(一八九二年 エンゲルス)
イタリー語版への序文(一八九三年 エンゲルス)

共産党宣言
 第一章 ブルジョアとプロレタリア
 第二章 プロレタリアと共産主義者
 第三章 社会主義的および共産主義的文献
 第四章 種々の反対党に対する共産主義者の立場

校 註
一八八八年英語版との対照
解 説

ISBN:9784003412459
出版社:岩波書店
判型:文庫
ページ数:116ページ
定価:570円(本体)
1951年12月10日第1刷
2007年04月05日第86刷改版発行

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 現代史
感想投稿日 : 2024年2月27日
本棚登録日 : 2024年2月24日

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