武器としての交渉思考 (星海社新書)

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  • 星海社 (2012年6月26日発売)
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ガイダンスにある言葉、「合意をもたらす手段こそが交渉である」が、テーマであり、「言葉こそが、最大の武器である」が結論です。

気になることばは、以下です。

・ふたりの人間がお互いに同意すれば契約が成り立つことになる。ローマ人は、この考え方を「パクタ・スント・セルヴァンダ」Pacta sunt servanda(同意は拘束する)。現在の法秩序の根本となっています。
・この合意を創り出す手段こそがこの本のテーマである「交渉」となります。

・交渉とは、前提となるルールそのものを変えていくゲームであるともいえる
・ロマンは長期的で抽象的でもかまわないが、ソロバンはできるだけ具体的で、短期的に結果がわかることが望ましい

・交渉には、意思決定権をもった相手が存在する
・自分がかわいそうだからどうにかしてともっていくのではなく、あなたがこうすると得しますよと提案するのが交渉
・相手にいかにメリットのある提案ができるかだ。「どれだけ相手の主張を聞けるか」の勝負だ。
・交渉においてとにかくいちばん大事なのは、「相手の利害に焦点を当てる」ということだ

・交渉に大切なのは、複数の選択肢をもつこと
・バトナとは、相手の提案に合意する以外の選択肢の中で、一番よいもの
・コモディティ人材とは、他にいくらでも替わりがいるということです。
・交渉というのは結局、情報を集めるだけの勝負である
・交渉というコミュニケーションがディベートに比べてやりやすいのは、相手側に直接聞いて情報を集めることができるということです。
・交渉のポイントは、たくさん聞いてたくさん提案すること
・合意できる範囲のことを、ゾーパという。ゾーパがかさならない交渉は合意に至ることはない。即刻交渉を打ち切ること
・交渉をするときお勧めするのは、自分のことだと思わずに、代理人として交渉を頼まれたと、マインドを切り替えてみるといい


・アンカーリングとは、最初の提示条件によって、相手の認識をコントロールすること
・交渉はスタート地点ですでにある程度の結果が決まってしまう
・相手が何かしらの条件を提示してきたときには、それがアンカーリングされないように、この条件の設定自体に何かおかしいところがあるのかどうかを、常に疑ってみる
・最初から自分が戦いやすい条件を初期にオファーすることが必要
・最終的に交渉の結果得られる果実は、最初に置いた目標以上にはならない
・最初の交渉で、自分にあまりにも有利な条件を提示して、あとから「あいつはひどい」「騙された」という噂がたったら、のちのビジネスに悪影響を及ぼす。それはビジネスを長期的に行う上で、きわめて不利益をもたらします。継続的に市場で勝ち続けるためには、あまり暴利をむさぼらないということが重要。
・必ず、何かしてくれたら譲歩します。自分は損をこうむるのだから、あなたも何かしらの損をこうむってください。ともっていく。
・相手の判断条件を理解するためにも、さまざまな条件付きの譲歩を提示することは有効。
・即座に受諾しないことが大切
・争点が複数あって、「この争点では譲歩するが、こっちの争点では譲歩しない」というように分けて考えなければならないケースがほとんど。
・自分の立場ではなく、相手の利害に焦点を当てる
・相手の利害関係を分析・理解し、それを満たしながら、さりげなく自分の要望も実現するのが賢い交渉のポイント
・お互いに何が大切なのか?、交渉のそもそもの目的な何なのかという争点を明確にして、交渉にのぞむこと。どれが目的で、どれが手段なのかを明確にすること。
・自分にとって重要度は低いが相手にとって高い争点を譲歩し、自分にとって重要度は高いが、相手にとっては低い争点を譲歩してもらうことで、お互いの目的が達成できる道を探る。
・直接の交渉相手だけではく、背後にいる人の利害争点にも配慮する
・交渉時の注意、2点
 ①沈黙に絶える
 ②相手が情報を出してこないときは、情報をだしてこないことを自体を利用する。

・非合理的人間6つのタイプとつきあう
 ①価値理解と共感
  交渉者が相手のその価値感にまったく共感できないときに、大きな問題となる
  合理的ではない相手と交渉するときには相手の価値観に合わせなければならない
 ②ラポール
  行為の返報性
  スモールギフトをおくる
  相手と似た境遇にあることを発見して、それを会話を糸口にする
  相手の好む話し方でつき合う
  共同作業の時間を持つ
 ③自律的決定
  自分で決めたを大切になるタイプ
  相手が自分で判断・決定するための材料を提供することに徹する
 ④重要感
  相手が自分のことを「より重く」「より大切」に扱ってくれることにこだわるタイプ
  とりあえず、相手の話を全部聞く
  ものすごく地道で相手の感情に配慮した営業努力をする
  口だけの称賛は必ずばれる
  相手の嗜好などを把握して、それを満たしてあげることで「この人は自分のことを重要だと思ってくれている」と印象付ける
  顔の表情、声のトーン、立ち振る舞いが雄弁に本心を語る
  できるだけ反応をはやめて連絡を頻繁にとることが大切
 ⑤ランク主義
  肩書を把握して対応を決めるタイプ
  ランク主義にはランクで対応
  人をレベルではなくラベルで判断する
  お前はみどころのあるやつだ、と思われたら勝ち
 ⑥動物的反応
  相手の精神的負担を軽減することを優先する
  できるかぎり交渉の時間を快適な環境にする
  相手のネガティブな感情的な反応には、こちら側はつき合わない
  一見すると自分のロジックがまったく通じない相手でも、その人の「行動原理」というものを見通すことで交渉可能になる
  自分のことではなく、「相手を分析する」ことが、合理的・非合理的な交渉を問わず極めて重要
・交渉メンバーが共有すべき3つの注意点
 ①アウトプット 何を達成するか
 ②ドレスコード 非言語的メッセージを与えるものすべてに気を遣う
 ③NGワード 相手に絶対に伝えてはならない機密事項や、発してはいけないワードを共有する

・言葉こそが最大な武器である。ふつうに使っている言葉には、すさまじいパワーが秘められており、その使い方を磨くことで、とても大きなことを成し遂げることができるものです。
・具体的な「成果を出す」ということにこだわる
・地上には最初から道があるわけではない。多くの人が歩けば、そこが道になるのだ。
・「他力本願」で改革を願うのは、日本人の特性のひとつ
・いろんな場所、いろんな組織に小さなリーダーが現れ、そのときどきで活躍していく。そういうシステムを私は、「群雄割拠型」のモデルをよんでいます。
・自分自身が、自分今いる場所で小さいながらも集団をつくり、そこでリーダーとなっていく。

目次

ガイダンス なぜ、いま「交渉」について学ぶ必要があるのか?

1時間目 大切なのは「ロマン」と「ソロバン」
2時間目 自分の立場ではなく、相手の「利害」に焦点を当てる
3時間目 「バトナ」は最強の武器
4時間目 「アンカリング」と「譲歩」を使いこなせ
5時間目 「非合法的な人間」とどう向き合うか?
6時間目 自分自身の「宿題」をやろう

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年12月9日
本棚登録日 : 2022年12月4日

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