本を読む本 (講談社学術文庫)

  • 講談社 (1997年10月9日発売)
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名著。ちょっと、手に持った時、題名に違和感あり、英語では How to Read a Book で納得。うすっぺらい本でバカにしていたが、論理的で読むのにかなりエネルギーが必要です。整理しながら進まれたらよろしいかと。

本書は、4つの方法で、いかに良書を読みすすめるかが書かれています。

点検読書:スキムリーティング:短時間でその本の概要を理解する
分析読書:精読、著書の意図を100%理解する
シントピカル読書:1つの研究テーマで複数の本を横断的に分析
がキモ。

メモは以下です。

・読むということは、程度の差こそあれ、ともかく、積極的な行為だが、積極性の高い読書ほど、良い読書だということである。

・本の内容が読み手に完全に理解できない場合がある。つまり読み終えて「わからないところもある」ということがはっきりしたときである。その本には、自分の理解を超える何かがあり、その何かがわかれば理解は深まることに気がつくのである。

・読書には2種類ある
① 情報を得るための読書
② 理解を深めるための読書

・教師はあくまで補助的な役割しか果たせない。教師は手助けをするが、学ぶのは学習者自身である。

・読書の4つのレベル
① 初級読書 読み書きのまったくできない子供が初歩の読み書きを習得するためのものである。
② 点検読書 系統立てて、拾い読みする技術である
③ 分析読書 徹底的に読むことである
④ シントピカル読書 複数の本を相互に関連づけて読む技術である

・初級読書 読書の第一レベル
① 第一段階 読みかた準備期
② 第二段階 ごく簡単なものの読みかたを覚える
③ 第三段階 用語が急速に増え、文脈をたどって知らない単語の意味をつかむ技術を身につける
④ 第四段階 これまで修得した読書技術にみがきをかけ、読書体験を自分のものにする

・点検読書 読書の第二レベル
  問うべきこと3つ
  ・それはどんな種類の本か
  ・全体として何をいおうとしているのか
  ・そのために著者はどのような構成で概念や知識を展開しているのか
① 組織的な拾い読み、下読み
 標題や序文をよむ
 目次を調べる
 索引を調べる
 カバーのうたい文句を読む
 議論のかなめであるいくつかの章をよく見る
 ところどころ拾い読みをしてみる
② 表面読み
 とにかく読み通すことだけを考える
 理解できるところだけをよんでわからないところは飛ばす
 脚注、註解、引用文献もよまない
③ 速読
 わかるところはさくさく読む
 わからないところはゆっくりと読む
④ 積極読書への4つの問い
 何に関する本なのか
 何がどのように詳しく述べられているのか
 その本の全体として真実か、どの部分が真実か
 それにはどんな意義があるのか
⑤ 書き込みを推奨する
 頭をはっきりとしておける、眠気がこない
 自分の考えを言語化できる
 著者の言っていることをすぐに思い出せる

・分析読書 読書の第三レベル
① 第一の規則 どんな種類の本なのか ノンフィクション、教養書に適している 理論の本は事実を教え、実践の本は方法を教える 要約、本のはじめ、おわりを読んでおく
② 第二の規則 その本全体を2,3行の文に表してみる それは著者の意図、何をいおうとしているかを発見するということ
③ 第三の規則 その本の部分を述べ、どのように順序よく配列されているかを示す 本の設計図を頭に入れる。アウトラインをつかむ
④ 第四の規則 著者が問題としている点は何か 本に書かれていることは、その答えだ
⑤ 第五の規則 重要単語を見つけ出し、それを手がかりとして著書と折り合いをつける キーワードを発見するためにパラグラフ全体を理解する。強調されている単語をさがす。単語の意味を理解する。
⑥ 第六の規則 文および命題、判断をさがす 
⑦ 第七の規則 論証の種類や方法を理解する キーセンテンス、重要な文を見つける、その前に自分がどこがわからないのかをはっきり知ることである。重要文がみつかったら、次の命題を探すこと、命題を発見したら命題を理解すること、つまり論証を行うこと。論証には、演繹法と帰納法がある。

・本を正しく批評する
① 批評の第一規則 良い読者は最後まで読んでから、その上で、賛成、反対、保留の態度を明らかにする
② 批評の第二規則 反論は筋道をたててすること、けんか腰ではいけない
③ 批評の第三規則 反論は解消できるものだと考えること

・議論を行う上での3つの条件
① 人間には理性があるが、感情的になることもある
② 読者は自分の立場を明らかにしなければならない
③ 党派にこだわると自分のことしかみえなくなる

・反論の4つの方法
 知識が不足 ⇒関連知識が不十分
 知識に謝りがある ⇒事実に反する主張をしている
 論理性に欠け、論証に説得力がない ⇒推論に謝りがある
 分析が不十分 ⇒最初に提示した問題にすべて応えていない、論証に関連した特徴的な記述がみられない

④  批判の第四規則 著者の主張は果たして妥当か

・読書の補助手段

 本そのもの:本質的読書
 関連書:付帯的読書
 手助けは、読書に関連する経験、関連する参考図書、注釈書、抜粋、辞書、百科事典など

・小説、戯曲、詩の読み方
  教養書 知識を伝えるもの
  小説等 経験を伝えるもの 感覚と想像力を用いる、隠喩、あいまいさ、行間を読む、
 登場人物の思想、会話、感情、行動
 全体的な場面、背景
 登場人物の動き
 作中の人物になりきる
 速く読み切る

・シントピカル読書 読書の第四レベル
 同一主題をもって、複数の本を読む方法
 まず、点検読書をしてさがしている主題があるかどうかを確認する
① 第一段階 関連個所を見つける 読者の関心事優先
② 第二段階 著者に折り合いをつける 同じ言葉をつかっているか、限らない。なので、本に読者の言葉で語らせる
③ 第三段階 質問を明確にする 命題そのものを、読者が立てる、理解する
④ 第四段階 論点を定めること
⑤ 第五段階 主題についての論考を分析する それは真実は、どんな意義があるのかを問う
 意見が一致 真実に近いと推定
 意見が相違 全面的に真実なものは一つもないかもしれない、全面的に真実で他がまちがっているかもしれない、どれも部分的に正しいが全体としては間違っている

目次は以下です。

日本の読者の皆さんへ

第1部 読書の意味
 1 読書技術と積極性
 2 読書のレベル
 3 初級読書 読書の第一レベル
 4 点検読書 読書の第二レベル
 5 意欲的な読者になるには

第2部 分析読書 読書の第三レベル
 6 本を分類する
 7 本を透視する
 8 著者と折り合いをつける
 9 著者の伝えたいことはなにか
 10 本を正しく批評する
 11 著者に賛成するか、反論するか
 12 読書の補助手段

第3部 文学の読み方
 13 小説、戯曲、詩の読みかた

第4部 読書の最終目標
 14 シントピカル読書 読書の第四レベル
 15 読書と精神の成長

日本人の読書 訳者あとがきにかえて

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2022年11月8日
本棚登録日 : 2022年11月3日

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