「超」文章法: 伝えたいことをどう書くか (中公新書 1662)

著者 :
  • 中央公論新社 (2002年10月25日発売)
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「超」文章法
伝えたいことをどう書くか
著:野口 悠紀雄
紙版
中公新書 1662

本書は、文章を書く際にすぐ使えるマニュアルになることを目指している
その対象は、論述文である。つまり、論文、解説文、報告文、企画書、評論、批評、エッセイ、紀行文などである
この手の文章の目的は、読み手を感動させることではない。読書を説得し、自分の主張を広めることだ。
「ためになり、面白く、わかりやすい」文章だ。

気になることは以下です。

■メッセージこそ重要

・メッセージの明確化
 執筆作業で最も苦労するのは、テーマの発見だ。うまいテーマを見つければ、あとは何とかなる
 つまり、重要なのは、形式ではなく、実体、伝えたいメッセージの内容である

・メッセージといえるものは
 ①ひとことでいえる
 ②どうしても書きたい、突き動かされるように書きたい

・ピントをあわせる
 文章を書く作業は、見たまま、感じたままを書くことではない、その中から書くに値するものを抽出することである

・広いと浅くなる
 ①広いテーマを一定字数で論じようとすると、どうしても浅く薄くなってしまう
 ②こうしたテーマは、すでに先人たちによって語りつくされている。それに付け加えるものはほとんどない

・ではどうすれば、メッセージが見つかるか
 ⇒ メッセージを見つけるには、ひたすら「考え抜く」しかない
 ⇒ 考えない限り、アイデアは生まれない
 ⇒ 裏命題、考え抜けば、アイデアは降臨するのか?
 ⇒ 私は、多くの場合、正しいと信じている

・対話で見つかる 

・パソコンで書いたものを紙に打ち出して持ち歩いてみる。読んで気づいたものを、書き込む、修正する
 すなわち自分と対話をする

・教科書に書いていることはテーマにならない。すでに重要な論文の内容をまとめたものが教科書
 論文になるのは、教科書に書いていないものということになる

・なぜ、メッセージが8割の重要性にも関わらず、メッセージの発見法がかいていないのか
 ⇒ マニュアル的なノウハウがないから。ノウハウがないことがノウハウなのである

・考え抜くには、考え抜くための環境を準備することだ。

・書くに値するメッセージなのか。
 必要条件は、ためになるか、あるいはおもしろい
 十分条件は、ためになり、しかも面白い だ。

・読者は誰か?
 ①ためになるかどうかは、読書によって大きく違う
 ②読書の理解度を想定する必要がある。書き手が当然とおもっていることも、読み手が知識を持ち合わせていないことが実に多い

■骨組み 内容面

・冒険物語、内容面での骨組みづくり ~プロット~
 ①故郷を離れて旅にでる
 ②仲間が加わる
 ③敵が現れる
 ④最終戦争が勃発する
 ⑤故郷に帰還する

・なぜ、旅にでるのか それは故郷にいても、日常であり、事件が発生する余地がないから

・なぜ、故郷にもどるのか それは、家ほどすばらしいところはないといいたいから

・なぜ、悪役が必要なのか
  ①反対概念や、対立概念を示せば、それと対比して元の概念の正確をはっきりできるから
  ②対立するものがいないと、話がおもしろくないから

■骨組み 形式面

・文章には、短文と長文しかない
・全体は、序論⇒本論⇒結論 の3部作で

■筋力増強

・比喩(たとえ話):明白なことを持ち出して、それと同じ論理構造になっているとする説明法
 簡潔であり、協力である
・比喩を使うと論理関係がすぐにわかり、かつ印象に残る

・抽象的な数字もわからない
 失業率5.6% はイメージ浮かばない
 失業者350万人 で、もう少しはっきりする
 横浜市の人口とほぼ同じ といわれると具体的なイメージになる

・引用とは権威に頼ることである 
 ①私はこう考えるより、ゲーテがこういった、のほうが説得力がある
 ②引用は、筆者を守る。護身術として引用をつかう
 ③論文の内容が思い付きや独りよがりでないことを引用は語る
 この3つが引用の効果である

・西洋は、聖書、シェークスピア、ゲーテが3大引用元であるが、日本では、徒然草である

・エピグラフ 本や、章のはじめにある題辞のこと、モットーともいう

■化粧 わかりにくい文章と闘う

・単文 主語+述語
・重文 複数の短文を順にならべたもの
・複文 複数の短文が、入れ子式になったもの

・どうすればいい
 ⇒ 複文を分解し、主語を2こ以内に
 ⇒ 漢語をつかって、節を句に変える
 ⇒ 余計なものをすべて削る

・日本語の特徴は、最後まで読まなければ意味がわからないことだ
 ⇒ 文と文とのつながりを接続詞で、明確にする
 ⇒ 接続詞をパラグラフの先頭にもってくる
 ⇒ 代名詞をさけ、名前をつける

・書き方
 ①結論を先にいうか、理由を先にいうか
 ②一般⇒具体か、具体⇒一般か

・わかりやすい順序にする
 ⇒ 最初に見取り図を示す
 ⇒ 箇条書きにする
 ⇒ 脱線、注記を明示する

・わかりにくさ
 ⇒ 部分と全体の関係がはっきりしない
 ⇒ 論理関係を正確に

・役人向け国会答弁用わかりにくい文章の作り方
 目標は、正確であり、かつ、わかりにくい
 ⇒複文を多用
 ⇒複雑な文構造にする
 ⇒修飾語と被修飾語の関係をあいまいに

■化粧 推敲

・文章表現に唯一絶対というものはないのだから、あまり神経質にならなくてもよい

・形式チェック
 ⇒タイトルは適切か
 ⇒章・節・パラグラフは適切か
 ⇒誤字脱字
 ⇒読点は適切か
 ⇒漢字、かな、カナの比率
 ⇒表記や用語の統一

・表現チェック
 ⇒簡潔に、削りに削る
 ⇒同じ表現を避ける
 ⇒語尾は適切か
 ⇒が、はパラグラフの中では、2回まで
 ⇒思い違いに注意
 ⇒避けたい表現
  ①乱用されている表現
  ②陳腐な形容詞、副詞、比喩
  ③内容空虚な紋切り文
  ④不快感を与える表現
  ⑤品位を下げる表現
  ⑥カナやアルファベットが異常に多い

■始めればできる

・まず始めよ
・始めれば完成する
・パソコンを使えば、いくらでも修正できる
・読みやすい文章を書く秘訣、とりあえず捨てること
・対話とメモで修正
 ①自分自身と対話する
 ②すぐに消えてしまうアイデアをとりあえずメモする

目次

プロローグ
第1章 メッセージこそ重要だ
第2章 骨組みを作る(1) 内容面のプロット
第3章 骨組みを作る(2) 形式面の構成
第4章 筋力増強 説得力を強める
第5章 化粧する(1) わかりにくい文章と闘う
第6章 化粧する(2) 100回でも推敲する
第7章 始めればできる
あとがき
参考書案内
索引

ISBN:9784121016621
出版社:中央公論新社
判型:新書
ページ数:280ページ
定価:780円(本体)
発売日:2002年10月25日

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: コミュニケーション
感想投稿日 : 2024年2月6日
本棚登録日 : 2024年2月4日

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