文章読本 改版 (中公文庫 た 30-28)

著者 :
  • 中央公論新社 (1996年2月18日発売)
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戦前に書かれたものであるが、その本旨については、今も納得のいくものである。

文語から、口語へ、現代仮名遣いへ以降する時代の香りというか、匂いというかが伝わってくる。

この書は、われわれ日本人が日本語の文章を書く心得を記したものである

言語は万能はものでないこと、その働きは不自由であり、時には有害なものであることを忘れてはならない

華を去り実に就く、のが文章の本旨、余計な飾り気を除いて実際に必要な言葉だけで書く

実際のことが理解されるように書こうとすれば、なるべく口語に近い文体を用いるようにし、俗語でも、新語でも、或る場合には外国語でも、何でも使うようにしなければならない。

現代の口語文では、専ら「分からせる」「理解させる」ということに重きを置く。

はっきり読者に伝わるのはできるだけ無駄を切り捨てて、不必要な言葉をはぶいているから

文章の条件には、分からせるという目的も、長く記憶させるという目的もある

黙読といっても、結局は音読している

文章を声に出して暗誦し、それがすらすら云えないようなら、読者の頭に入らない悪文である

日本語は、かならずしも、主格(主語)あるを必要としない

多く読むことも必要ですが、1つのものを繰り返し繰り返し、暗誦するぐらいできることも大切です。

文章の要素は6つある

①用語
 わかりやすい語をえらぶ
 使い慣れた語を使う
 耳慣れた外来語や俗語を選ぶ
 同義語をたくさん知る
②調子
 日本語には2文をつなぐための、関係代名詞というものはない
 読んでもらうために、わざとごつごつした調子で書く
③文体
④体裁
 息継ぎのタイミングが、句読点を打つところ
⑤品格
 言葉使いを粗略にしない
 敬語や尊称をおろそかにしない
⑥含蓄
 饒舌を慎む
 喜怒哀楽をあまり大げさに表現しない

文章読本 完 改版
著:谷崎 潤一郎
紙版 中公文庫

目次

1 文章とは何か
 〇言語と文章
 〇実用的な文章と芸術的な文章
 〇現代文と古典文
 〇西洋の文章と日本の文章
2 文章の上達法
 〇文法に囚われないこと
 〇感覚を研くこと
3 文章の要素
 〇文章の要素に六つあること
 〇用語について
 〇調子について
 〇文体について
 〇体裁について
 〇品格について
 〇含蓄について
解説 吉行淳之介

ISBN:9784122025356
出版社:中央公論新社
判型:文庫
ページ数:240ページ
定価:571円(本体)
発行年月日:1975年01月10日初版発行
発行年月日:1996年02月18日改版発行

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: コミュニケーション
感想投稿日 : 2023年10月18日
本棚登録日 : 2023年1月3日

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