現代語訳 学問のすすめ (ちくま新書)

  • 筑摩書房 (2009年2月9日発売)
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明治5年から明治9年まで発表された、17冊の分冊をまとめたものが、「学問のすすめ」です。

「天は人の上に人を造らず、人の下に人を造らず」

「学問のすすめ」が勧める学問とは何か、それは、社会の役に立つ実学である。そして、実学をすべての人が、学ばなければならない。

・人は学ばなければ、智はない。智のないものは愚かな人である。
・天は富貴を人に与えるのではなく、人の働きに与える
・一生懸命にやるべきは、普通の生活に役立つ実学である。
・学問をするにあたっては、西洋の翻訳書を調べ、だいたいのことは漢語を使わずにできるだけやさしい言葉で対応すべきである。若くして学問の才能があるものについては、西洋の原文を読ませる。
・自由とわがままの境目というのは、他人の害となることをするかしないかにある。
・日本中ひとりひとりに生まれつきの身分などといったものはない。ただその人の才能や人間性や社会的役割によって、その位というものが決まるのだ。
・国民の徳の水準が落ちて、より無学になることがあったら、政府の法律もいっそう厳重になるだろう。もし反対に、国民がみな学問を志して物事の筋道を知って文明を身につけるようになれば、法律もまた寛容になっていくだろう。

・独立の気概がない人間は国を思う気持ちも浅い。
・国内で独立した立場をもっていない人間は、国外に向かって外国人に接するときも、独立の権理を主張することはできない
・独立の気概がない者は、人の権威をかさに着て悪事をなすことがある
・要するに、国民を束縛して、政府がひとり苦労して政治をするよりも、国民を解放して、苦楽を共にした方がいいではないか、ということなのだ。

・この「学問のすすめ」という本は、もともと民間の読み物、あるいは、小学校で使う本として書いたもの
・つまるところ、人民の気概がなければ、文明の形も結局無用の長物となる。
・およそ、世の中の物事は、進歩しない者は必ず退歩する。退歩しない者は、必ず進歩する。進歩も退歩もなく、そのままのところに留まる者はありえないのが理屈である。

・税金は気持ちよく払え およそ世の中に、何かうまい商売かといって、税金を払って政府の保護を買うほど安いものはない
・ダメな政府に対してとるべき手段
 ①信念を曲げて政府に従う のはたいへんよくない
 ②力をもって政府に敵対する のは、もちろん一人でできることではない、かならず仲間が必要となる。これは内乱である。
 ③身を犠牲にして正義を守る とは正しい道理を唱えて政府に訴えること これが上策の上である
・人間の心身の動きは2つ
 ①個人としての働き
 ②社会人としての働き
・かえずがえすも、世の中で頼りにならないものといったら、「名分」である。
・観察し、推理し、読書をして知見を持ち、議論をすることで知見を交換し、本を書き演説することで、その知見を広める手段とする
・人間の見識品格は、ただ、広い知識をもっていることによって高くなるものでもない。
・信じることには偽りが多く、疑うことには真理が多い。
・西洋諸国の人民が、今日の文明に達した原因も、すべて「疑うこと」というこの一点から出ている

・西洋の風俗を、ことごとくすばらしいものとして信じてはならない。わが国の風俗を、ことごとくダメなものとして疑ってはならない。
・自分であれこれ考えるのは、学ぶことにはおよばない。

・一杯、人、酒を呑み、三杯、酒、人を呑む。

目次
はじめに 今、なぜ、現代語訳か
初編 学問には目的がある
第2編 人間の権理とは何か
第3編 愛国心のあり方
第4編 国民の気風が国を作る
第5編 国をリードする人材とは
第6編 文明社会と法の精神
第7編 国民の二つの役目
第8編 男女間の不合理、親子間の不条理
第9編 よりレベルの高い学問
第10編 学問にかかる期待
第11編 美しいタテマエに潜む害悪
第12編 品格を高める
第13編 怨望は最大の悪徳
第14編 人生設計の技術
第15編 判断力の鍛え方
第16編 正しい実行力をつける
第17編 人望と人付き合い
解説
おわりに

ISBN:9784480064707
出版社:筑摩書房
判型:新書
ページ数:256ページ
定価:820円(本体)
発売日:2020年05月20日第57刷

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感想投稿日 : 2023年6月26日
本棚登録日 : 2021年2月19日

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