AI vs. 教科書が読めない子どもたち

著者 :
  • 東洋経済新報社 (2018年2月2日発売)
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恐るべき書、AIという技術が、人間にもたらすものは何か

多くの仕事がAIに代替される将来、生き残るためには、読解力が必要である
しかし、日本の中高校生の多くは、中学校の教科書の文章を正確に理解できない
読解力のない人間は失業するしかない というのが本書の主旨である

AIが人間の仕事をすべて奪ってしまうようなことはありませんが、人間の仕事の多くがAIに代替される社会がすぐそこにせまっています

受験用AI 東ロボくん の現在の偏差値は、57.1 つまり 5人の1人に入らなければ、人間の仕事には生き残れない

AI進化史
 第1次 1950年~1960年 推論と探索による問題を解く時代 ⇒ フレーム問題というのが起きて、AIは下火に
 第2次 1980年代 エキスパートシステムが試作される ⇒ 曖昧な表現や数値化できない表現が難敵
 第3次 2010年代 機械学習 ディープラーニング(深層学習)の時代

機械学習 正しいデータ、つまり、教師データが必要

IBMワトソン AIが文章を読んでいるのではない、AIは文章を読めない

がんの画像診断、住宅ローンの融資 人はAIには勝てなくなってきている ⇒オックスフォードのチームは、47%の雇用者が失職する可能性 ⇒いずれ日本も同様となる

自然言語処理は、難問、150億文を学習させても、精度はあがらない

でも、AIが文章を理解しているわけではない、コンピュータ思考はできない、できるのは計算だけ

文章を自動でつくったり、絵を描いたり、作曲をしたりできるのは、次を確率的に生み出しているだけ、これを「確率過程」という
短い文や曲ではそれらしいものが作られるが、長いものはだめ、支離滅裂になってしまう

AIはロマンではない、AIは電子レンジと同様の技術である

AIができない仕事ができる人とはどんな人か ⇒ 読解力を基盤とするコミュニケーション能力や理解力を持つ人

だったらそんな人を教育すればいい 調べてみると 読解力が高いと偏差値の高い高校に入れる ということはわかった
では、読解力を高める教育とは何かという問いに
 ⇒ 超有名私立一貫校の教育については、読解力と相関はない
 ⇒ 読書習慣も相関はない
 ⇒ 学習習慣も相関はない
 ⇒ 得意科目も影響はない
 ⇒ スマホを使う時間も相関はない
 ⇒ 性別も関係はない
つまり、「こうすれば読解力が上がる」という教育方法はわからなかった
 ⇒ 読解力が高いということは、教科書の文章をちゃんと読めるということ
 ⇒ 貧困が読解力にマイナスの影響があることはわかっている

現在、板書ができない子、調理師免許をとろうにも、筆記に受からない子が少なくない
企業では、仕様書を正しく理解して、手順書通りに作業をし、報連相ができるあたりまえの人材をとることむずかしくなっている

仮説として、多読ではなく、精読、深読がなんらかのヒントになっているかも
読解力はいくつになっても伸ばすことができる

未来図

企業は人手不足なのに、社会には失業者があふれている、AI恐慌の時代がやってくる。

目次
はじめに
第1章  MARCHに合格――AIはライバル
第2章 桜散る――シンギュラリティはSF
第3章 教科書が読めない――全国読解力調査
第4章 最悪のシナリオ
おわりに

AI vs. 教科書が読めない子どもたち
著:新井 紀子

ISBN:9784492762394
出版社:東洋経済新報社
判型:4-6
ページ数:288ページ
定価:1500円(本体)
発行年月日:2018年02月
発売日:2018年02月02日

読書状況:いま読んでる 公開設定:公開
カテゴリ: 情報システム
感想投稿日 : 2023年10月16日
本棚登録日 : 2023年7月17日

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