AI vs. 教科書が読めない子どもたち

著者 : 新井紀子
  • 東洋経済新報社 (2018年2月2日発売)
4.33
  • (10)
  • (5)
  • (2)
  • (1)
  • (0)
  • 本棚登録 :254
  • レビュー :13
  • Amazon.co.jp ・本 (287ページ)
  • / ISBN・EAN: 9784492762394

作品紹介

東ロボくんは東大には入れなかった。AIの限界ーー。しかし、”彼”はMARCHクラスには楽勝で合格していた!これが意味することとはなにか? AIは何を得意とし、何を苦手とするのか? AI楽観論者は、人間とAIが補完し合い共存するシナリオを描く。しかし、東ロボくんの実験と同時に行なわれた全国2万5000人を対象にした読解力調査では恐るべき実態が判明する。AIの限界が示される一方で、これからの危機はむしろ人間側の教育にあることが示され、その行く着く先は最悪の恐慌だという。では、最悪のシナリオを避けるのはどうしたらいいのか? 最終章では教育に関する専門家でもある新井先生の提言が語られる。

AI vs. 教科書が読めない子どもたちの感想・レビュー・書評

並び替え:

表示形式:

表示件数:

  • 前半でAIの技術的限界が示され、後半では中高生の読解力の低さと、AIに職を奪われることによる悲観的な未来予想が示されている。人間の知的活動を全て数学的に表現することができない限りAIは「意味」を理解するには至らず、シンギュラリティが来ることはあり得ない。一方で、AIの苦手とする意味理解を伴う読解のできる中高生は半数にも満たず、このままではAIにできない職を人間が担うことができなくなってしまうとのこと。AI技術の行く先を現実的に、論理的に、かつわかりやすく解説した書籍は多くなく、貴重な1冊ではなかろうかと思う。

  • これから世の中に出ていく子どもに関わるすべての人が読むべきだし、文章は平易で読みやすいので中高生なら自分で読んでみてほしい。AIにできることできないこと、得意なこと苦手なことをちゃんと知ることは、AIと共存して仕事を分け合っていく未来を生きる自分が、これから学校で何を学べばいいのか、人間の能力の何にAIにはない価値があるのか、考えるよすがになるから。

  • 最近AIが話題になっているが、この本の帯に以下のように書いてある。
    「AIが神になる?…なりません!
     AIが人類を滅ぼす?…滅ぼしません!
     シンギュラリティが到来する?…到来しません!」
    著者は国立情報学研究所の新井教授、人工知能プロジェクト
    「ロボットは東大に入れるか?」のプロジェクトディレクタをされている方だ。
    本書の前半ではAIの技術的な限界を、
    後半では中高生の読解力の低下を指摘している。

    ショッキングなのは後半の方。
    決して難しいとは思えない読解力テストで、多くの学生がサイコロの目以下の
    正答率しかとれないことを明らかにしているからだ。
    読解力テストは中高生を対象に実施した結果のみが詳細に語られているが、
    大人の読解力はどうなんだろうか?
    年齢とともに読解力が低下することはないんだろうか?
    …いろいろと気になってくる。

    残念ながら、著者は読解力を向上させる明確な方法論を見出していないという。
    そのことが多くの人の不安を駆り立て、
    一部の人は本書に批判的なコメントを寄せている。
    確かに気持ちはわかる。
    でも、技術的限界のあるAIに読解力で勝てない人達に、
    社会はどんな仕事を提供できるだろうか?
    人が生涯現役で働かなければならない時代が来るのに、
    読解力なしでどうやって新しいスキルを身につけられるだろうか?

    幸い著者は年を取ってからも後天的に向上させる可能性があることを指摘している。
    こうやってブクログに自分の感想を書くことが、
    ちょっとでも読解力の維持につながっていればいいのだが。

  • まず、新井先生の志が尊いので、みんな買って読んでほしい。

    論旨は超明快。
    この辺りの、インタビューでも語られている。
    https://news.yahoo.co.jp/byline/yuasamakoto/20161114-00064079/
    https://news.yahoo.co.jp/byline/egawashoko/20180211-00081509/

    本書には、この議論を補強する数々のエビデンスが提示されている。それが、なかなか強烈で、危機感を覚える。

    AI技術が普及すると、人間にはこれまで以上に「読解力」が必須となる。しかし困ったことに、どう教育したらそのスキルを伸長できるのか、まだ具体的なメソッドは研究中らしい。

    科学的根拠に基づく読解力向上の本を想定しているようなので、そちらも期待したい。

    本書を読んで、個人的には、読解力もさることながら、数学ができないとダメだなと思った。

    こうした活動が、文系の先生ではなくて、数学の先生によって担われていることが、それを示唆しているように思えてならない。

    少なくとも、真のシンギュラリティが起きるまでは。

  • 著者は東ロボ君プロジェクトのリーダー。東ロボ君とは東大を目指すAIのこと。しかし、残念ながら、数学では合格点を取れても、英語や国語は届かないようだ。それでもMARCHに合格できるくらいの偏差値は取れているらしい。そもそも、AIには文章の意味が分からない。「私は山口と広島に行った。」と「私は山田と広島に行った。」の区別ができない。コンピュータは計算機だから、そもそも原理的に足し算・かけ算で表せることしかできない。そうだとしても、相当な仕事がAIにはできる。10年後にでも、我々の仕事の多くをAIが肩代わりするようになる。そのとき必要な力とは何か。本書の圧巻は第3章。全国読解力調査についてだ。著者がこんなことにまで手を広げているとは知らなかった。これはおもしろい。ぜひ自分も受けてみたいし、子どもたちにも受けさせてみたい。挙がっている例題については、ゆっくり時間をかければ解くことはできるが、短時間に焦ってやるとまちがうと思う。とくに182ページの問題は難しい。ということで、少し酔っ払い気味のパートナーに解かせてみると、とんちんかんな答えを言っている。さて、AIにとっては難しいという意味を読みとる力。実はいまの中高生もその力が足りていないのではないかと懸念されている。新井先生は、かなり力を入れて、読解力調査およびその結果に対する対処を考えていらっしゃるようだ。頭が下がる。私にも何らか協力できることがあればいいと思う。ところで私の読解力もかなり弱い。いま読んでいる「マルクス資本論の哲学」はほとんど理解しないまま読み進んでいる。時間をかければ理解できるというものでもないのだ。だれかの手助けがほしい。・・・ところで自分の読解力のなさを棚に上げると、やはり文章のうまい下手というのはあるのではないか。教科書にしても、もっと読ませようという努力が必要かもしれない。本書の論点からはずれると思うが、問題を解いた娘と話しながらそう思った。

  • 立ち読みです。
    二部構成で、前半が東ロボくんの開発話、後半が読解能力テストの開発について。
    この本の要点は後半だと思うのでそちらについて書いていきます。ただし立ち読みで私の脳内に付着した内容なので誤解が含まれているおそれがあります。
    この日本は、日本語だけ使えれば(いちおう)生きていける単一言語国家であるので、中学生卒業程度の一通りの日本語教育を受ければ社会に出てからの指示受け応え・指示書読解は行えるはず、という前提で構成されている。しかし、新井先生の開発したテストは、その前提条件が崩れていることを明らかにした。
    そして、読解能力不足つまりはAIよりも読解能力が足りない人たちは、未来においてAIにより職が少なくなった社会で仕事を得ることが難しくなる、というディストピアが予言される。
    更に、残念なことに私立進学校の教育は読解能力の向上につながっていない、とのこと。私立進学校が進学校たり得るのは、入試により読解能力を持つ子どもたちがフィルタされるためである。読解能力さえあれば、高校二年生まで遊んでいても高校三年生での独習で偏差値上位の大学に合格できる、そのような能力者たちを集めているために私立進学校は進学校としてやっていけている、らしい。
    新井先生には、どのようにすれば読解能力を向上させることが出来るのか、その研究に着手してほしい。既に断念しているようだが、再考してもらい、初等教育にフィードバックしていただかなくては。人口減によりただでさえ人が少ない日本で、マトモに仕事で稼げる人数が限られてしまい、日本が完全に潰えてしまうようになると思われる。
    中年の私がその頃まで生きているのか、とも思うが、寿命が長いために意外と生きているのではないか。
    ひとまず、子どもたちの未来が暗いのは、あまりうれしいことではない。明るくするのが、いま大人である者たちの使命だと思うが、何か出来るのかと言われれば、なにもないのであった。残念。
    読解能力向上対策がなかったので☆4つです。

  • 「AI◯◯」などというハッタリっぽいことを堂々主張されている先生も実際居られるわけですが、それをバッサリ切り捨てて頂けると大変良いのではないかと。子供がいると、将来を考えさせられる点も多かったです。

  • 論理的で読みやすい文章で、AIに対する誤解を解くという意味ではすごくいい本だと思う。ただ、期待してたリーディングテストの内容については報道以上の詳しい情報があまり無く残念だった。

  • これは、かなりヤバイ本。
    知っている人はしっているリーディングスキルテスト、東ロボくんプロジェクトの背景と、そこからでてきたリーディングスキルテストの表すものを説明した本なわけだが、これをよむと、中堅大学クラスのが雨声の読解力が、いまのレベルのAI(モドキ)の能力にすでに劣っているということが書かれている。だから、読解力をつけないければ、というのが本の後半にでてくるわけ。

    なんだけど、つまりこの本は絶対的な能力主義の世界を前提としている。それは何を意味しているかといえば、たとえばDDであるとかディスクレシアについては、今以上に行き所がなくなるだろうってこと。

    もちろん、この本はそんな意図で書かれた物ではないし、そんな問題設定しているわけでもないので、そんなこと言われても新井先生も困るというのは重々分かっているのだけど、それでもこの本の描き出している世界は、そうとしか解釈できないのね。
    そこがこの本の恐ろしいところだと思うのですよ。

  • AI論議が喧しい昨今、AI楽観論者に警鐘を鳴らす。
    AIはソフトウェアであり、人間と同等の知能を得るには、私たちの脳が、意識無意識を問わず認識していることをすべて計算可能な数式に置き換えることができることを意味するが、現在数学が説明できるのは①論理②確率③統計の3種類のみで、人間の知的活動のすべてが数式で表現できない現状では、AIが人間に取って代わることはない。
    また「意味」を記述する方法がないため、AIにとって言語は「意味がわからない」のが現状。
    だから、シンギュラリティは来ないし、すべての仕事を奪うこともない。
    しかし、AIは人間の強力なライバルになる実力がすでにあり、現にMARCHや関関同立に合格できるレベルである。

    そこで、AIにできない仕事が人間にできるのか?と問う。
    コミュニケーション能力や理解力を求められる仕事や、介護や畦の草抜きのような柔軟な判断力が求められる肉体労働など、AIが発展してきても、一を聞いて十を知る能力や応用力、柔軟性、フレームに囚われない発想力などを備えていれば、職を失うことはない。

    それでは、私達がAIには肩代わりできない種類の仕事をできるだけの読解力や常識、あるいは柔軟性や発想力を十分備えているのか。
    結論は危機的。人間の基礎的読解力を判定するために開発したテストがRST(Reading Skill Test)を用いて2万5千人対象に試験をしたところ、危機的状況と判明。
    中学校を卒業する段階で、約3割が(内容理解を伴わない)表層的な読解もできないし、学力中位の高校でも、半数以上が内容理解を要する読解はできない
    AIには不可能と思われる「推論」「イメージ同定」「具体例同定」の能力で全中高校生の平均で7割程度の正答率となるような、教育方法の確立が求められる。
    しかし現時点での処方箋はなく筆者は多読ではなく、精読深読がヒントかもとあるが、今後の課題である。

全13件中 1 - 10件を表示

AI vs. 教科書が読めない子どもたちのその他の作品

新井紀子の作品

この本を読んでいる人は、こんな本も本棚に登録しています。

有効な左矢印 無効な左矢印
佐藤 雅彦
J・モーティマー...
ヴィクトール・E...
ぬまがさワタリ(...
スティーブン・ピ...
有効な右矢印 無効な右矢印

AI vs. 教科書が読めない子どもたちはこんな本です

AI vs. 教科書が読めない子どもたちを本棚に登録しているひと

ツイートする