スカーレット・ピンパーネル (集英社文庫)

  • 集英社 (2008年5月20日発売)
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感想 : 10
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 『隅の老人』シリーズで知られるバロネス・オルツィの歴史ロマン小説。
 18世紀末のフランスとイギリスを舞台に、秘密組織「スカーレット・ピンパーネル(紅はこべ)」の活躍を描く。
 フランス革命下において、次々に捕らえられ、処刑される貴族たちを救出し、亡命させる謎の一団。
 大胆不敵で変幻自在のリーダーを追跡する、共和政府とのスリリングな攻防。
 イギリス貴族と結婚したフランス人女優の、夫への葛藤と擦れ違い。
 リーダーの正体や土壇場での奇策など、謎とされるファクター自体は難解ではないし、欧州一の才女と謳われるヒロインの浅薄さが若干鼻につくものの、恋と冒険のエンターテインメントたる面白さは失われていない。
 さらに、著者が、ハンガリーの由緒ある貴族の出身であること。
 幼少期に小作人の反乱に遭って、家族と共に、ベルギーやフランス、イギリスへと移ったこと。
 当初、イギリスで舞台化された『紅はこべ』が大盛況であったことetc.。
 このような、フランス革命に対する周辺諸国(貴族階級)の反応や、当時の社会情勢が大きく反映されている点も見どころの一つだ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説(歴史物・時代物)
感想投稿日 : 2022年11月4日
読了日 : -
本棚登録日 : 2022年11月4日

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