面白い構成。
問いを立てて、それに明確な答えを与える論がないことを確認しつつ、いろんな分野へ話が進む。最後にやはりまだ答えがないその問いに、内田さんが仮説を立てる。 その最後の部分、なぜその問いを重視するのかというところに内田さんの「好き/嫌い」が絡んでいるところが好ましいと思った。
内田さんの本はものすごく広い分野に渡る割に、明確に記憶に残る知識や結論が少ないからちょっと戸惑う。内田さんが断定するところにえ?と引っかかってしまうことがあるからだと思っていたのだけど、「わかりやすくない」ということも確かにありそう。知識や結論を残し行動を変えるのではなく、なんとなく頭の隅に内田さんの話が(曖昧なまま)溜まっていく。それを筆者が目指しているらしいことがわかり、驚いたが納得もした。
ただやっぱり内田さんの論には「そうだろうか?」と思うことも多い(それは彼の論が多岐にわたることと、批判を恐れずそこに言及している裏返しでもあるのだけど)。最後に複雑化がいいことだという人はほぼいない、みたいなことを仰っていたけど最近は「わかりやすさ」に警鐘を鳴らす媒体は結構多いんじゃないか、とか思う。私は複雑な方が好きだし。
日本文化の話だと思って、加藤周一の名前に頷きながら読んでいたら地方移住?の話が始まり驚く。ちょうど自分の関心が得る分野だから特に興味深く読んだ。「仕事」の話も。
読書状況:読み終わった
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- 感想投稿日 : 2022年6月24日
- 読了日 : 2022年6月24日
- 本棚登録日 : 2022年6月20日
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