龍宮 (文春文庫)

著者 :
  • 文藝春秋 (2005年9月2日発売)
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本棚登録 : 1494
感想 : 163

確かに異形のものとの交流はありますが、この小説集が醸し出す混乱や妖しさの最大の要素は、時間軸を操り読者を不安定にさせていることにあるのではないでしょうか。「龍宮」のイトは14歳でもあり100歳でもあります。島崎では7代前の先祖に一目惚れします。また、性欲や排泄など禁忌な話題も時折挟んで卑俗さから離れません。時には、殺人や近親相姦など淡々としながらタブーを犯します。このごった煮感が不穏な迷宮の構成要素です。いずれの作品も個性的なテイストですが、少し挙げると、「狐塚」は老人のために書かれたファンタジーです。「荒神」はまだ何も起こっていませんがとても不穏です。秀作ですね。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月27日
読了日 : 2020年6月27日
本棚登録日 : 2020年6月27日

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