アジアの7作家による短編集で、そのうち3篇は翻訳である。作品の選出は島田荘司氏で、各作品について氏の感想評論が添えられている。その中で印象的だった作品について雑感を述べることにする。
◆陳浩基『ヨルムンガンド』
7作品の中でダントツに面白かった。オズワルドとカルヴィンは幼なじみで、ともに物理学を専攻するアメリカの大学生。ある日突然オズワルドが銃撃され…。その後様々な年代の話が展開するのだが、これ、パラレルワールドもの、タイムスリップものである。強い必然性あってこその空間移動で、謎が解けたときの驚きが最高!未来にもう一度読んでみたい作品。
◆林千早『杣径』
母親が「熊」に襲われて死亡、少女アーシャがその熊を仕留め、姉と2人森の中で生きていく物語。しかしアーシャは記憶が定かではなく、母と熊にまつわる話はすべて姉が教えてくれたものである。終盤で怒涛の如く真相が明かされ「やられた」感が強い。
最後が島田荘司氏の作品で、台湾からやってきた「駒子」を主人公とした物語。人物設定は作者の願望という気もした。
いろいろな国地域の作家による競作は互いの刺激になると思う。これからも色々な作品にお目にかかりたいものだ。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
アジアの文学
- 感想投稿日 : 2023年6月27日
- 読了日 : 2023年6月26日
- 本棚登録日 : 2023年6月26日
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