タケとテツは、中年詐欺師コンビ。二人は共に闇金業者から借金の末、家族を失った過去があった。ある日二人は街中でスリを働いていた少女まひろを助け、同居することになる。そこにはやがてまひろの姉や姉の彼氏までもが移り住み、擬似家族のような奇妙な同居生活が始まるが…
詐欺師が巨悪に立ち向かうコンゲーム小説。コンゲームとは詐欺や騙し合いをテーマにしたサスペンスで、小説では「紳士同盟」が有名だが映画で言うと「ミッション•インポッシブル」や「オーシャンズ11」のようなノリ。
本書は著者の代表作に推す声も多く、期待値も高かったが、期待通りに面白かった。
なんといってもプロットが素晴らしい。辛い過去を持つ詐欺師達が、共通目的の元で一丸となって闇金業者に立ち向かうストーリーはわかりやすくてスリリング。彼らが企てた“アルバトロス作戦”も、ヒヤヒヤしながら祈るように読み進めた。
ミスリードやダブルミーニングを交えながら二転三転する展開は圧巻。騙してくるとわかってても騙される。わかってても止められない三笘薫のドリブルみたいだ。反転後の怒涛の伏線回収劇は驚きを通り越してもはや痛快。そこかしこに張り巡らされていた伏線の数々。中にはあからさま過ぎる伏線もあって、いやあ、一本取られた。タイトルも最後に意味がわかってジワる。
登場人物が少なくかつ個性的な面々だし、ポップでユーモラスな文体で読みやすいので、ミステリ初心者にもオススメ。
週刊文春ミステリーベスト10 10位
このミステリーがすごい! 6位
本格ミステリ・ベスト10 16位
ミステリが読みたい! 4位
日本推理作家協会賞受賞(2009年)
《カラスの親指シリーズ》
1.カラスの親指
2.カエルの小指
- 感想投稿日 : 2024年2月11日
- 読了日 : 2024年2月11日
- 本棚登録日 : 2024年2月11日
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