これは本当にびっくりした。こんなものがありなのか、と。限りなく小説の形式で書かれているエッセイ。もしくは限りなくエッセイのように語られる小説。最初、当たり前のように短編小説集だと思って読み始めたら、エッセイの風味になってきて、どっちがどっちか分からなくなった。しかし、実体験であれ創作であれ、それを限りなく昇華させていて、とても面白い短編集だった。時折引っかかるようなわざとらしさ、というか全体の美しい流れを損なうような一瞬を含んだ短編があって、それが残念だったのだけれど、差し置いても本当に面白くて新しい。特に表題作、おぱらばんの完成された美しさといったらまるでガラスケースに収められたフランスを見ているようで、純文学の素晴らしさというものが心を刺した。
この人がこれから日本の文学シーンでどういう立ち位置でどういう作品を発表するかはまだまだ分かりませんが、わたしはすごく注目して見ていこうとおもいます。既刊も全て読みます。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
日本小説
- 感想投稿日 : 2012年12月12日
- 読了日 : 2012年12月12日
- 本棚登録日 : 2012年12月12日
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