普通の主婦だった恭子。
夫が放火事件に巻き込まれ、小さな疑惑が湧き上がってから違う方向へ引き寄せられるように堕ちていく姿が
じわじわと怖かった。
何処でどう道を間違えたのか・・・終盤の普通の生活、今までの生活を捨てまいと自ら事件を起こす恭子が
哀れで浅はかで、置かれている状況さえも判断出来なくなる姿が必死で愚かで来るしかった。
逃げ道を失う怖さ。
読み終わって思った事は「どんな時も冷静に判断して、選ぶ道、進む道を間違えないようにしなくちゃ!!」と、つくづく思った。
また刑事の九野の精神的疾患の真実には全く気づかなかったのでビックリしました。
亡き妻、早苗と恭子を重ね合わせる所は
ちょっと思い込みの激しさが怖かった。
事件も人間関係も別にドロドロした話じゃないのに
「怖い」って表現が出てしまいます。
今までの積み重ねて来た日常を失う怖さ、失ったものを受け止められずに執着してしまう怖さ。
大きな事件が描かれる小説より
こういう日常が少しづつ少しずつ崩れて行く方が
身近すぎて怖いです。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
奥田英朗
- 感想投稿日 : 2019年11月30日
- 読了日 : 2019年11月30日
- 本棚登録日 : 2019年11月29日
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