神曲 地獄篇: 第1歌~第17歌 (須賀敦子の本棚 1) (須賀敦子の本棚 池澤夏樹=監修)

  • 河出書房新社 (2018年6月21日発売)
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感想 : 3

神様、
藤谷道夫さんの「はじめに」「『神曲』の理解のために」と、
池澤夏樹さんの「解説、というか読みかた指南」しか読んでいないのに
レビューを書いてしまう、
罪深い私をお許しください。

須賀敦子さんは刊行するためでなく自分のための覚えとして、『神曲』を日本語に移していました。
そんなとき、『神曲』に興味をもつ慶応大学仏文科3年生の藤谷道夫さんと出会います。
母子ほど年の違う二人は敦子さんの勤める上智大学で週一回一緒に読み、それは藤谷道夫さんが筑波大学大学院を出るまで、5年間続きました。

当時の須賀敦子さんは40代、いま藤谷さんは60歳の慶応大学教授。
彼女のメモをもとに、この本を執筆してくださいました。
でも『神曲』前半だけなので、池澤さんは後半を待ち望んでいます。

さて『神曲』とは何か、こう書かれています。

〈あまりに豊かな内容をもつため、読み手によって様々なイメージが湧くであろう。
警世の書として、ダンテは『神曲』を通して当時の腐敗・堕落を痛烈に揶揄している。その批判の対象は聖職者であり、政治家であり、商人たちである。
あるいは、神に至る精神の道のり、魂のルート・マップにも映るであろう。
人が自己の悪と対峙しながら、自身の精神の深みへと降りてゆき、真の自分自身を見出す魂の救済の旅である。
あるいは、人類の歴史の旅のようにも映る。
『神曲』は人類のこれまでの歩みと現在を精査していく壮大の旅でもある。〉

〈また、『神曲』を読めば、旧約聖書と新約聖書およびギリシャ神話を読んだことになる〉

〈『神曲』はこれまで誰も書いたことのない恋愛詩であり、永遠の片思いの詩であり、だからこそ真の愛となる。〉

〈その先には『神曲』ぜんたいの主題の見事な要約がある。
それは「悪の中に善を見出すこと」であり、「現世は悪に満ちている。しかし、この悪は善へと転化される前の状態に過ぎず、神の摂理によってやがて善へと変わるのを待っている」のだ。なるほど。〉

現在、ダンテに関連する論文や著作は世界で毎年一千点に及び、これはシェークスピアに次いで世界で二番目に多いそうです。
ですから、この本をしっかり読む前に、もっと読みやすいところから、ゆっくりせめていきたいと思います。
ごめんなさい、須賀敦子さん、藤谷道夫さん。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 須賀・神谷・渡辺
感想投稿日 : 2018年10月3日
読了日 : 2018年10月3日
本棚登録日 : 2018年10月3日

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