荘子と遊ぶ 禅的思考の源流へ (筑摩選書 3)

著者 :
  • 筑摩書房 (2010年10月15日発売)
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感想 : 11
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(2015.11.10読了)(2015.10.29借入)
副題「禅的思考の源流へ」
荘周さんを現代日本に呼び出して、玄侑宗久と遊んでいます。玄侑さんは、非常に楽しそうですが、読んでる僕には、何がどう楽しいのかちっともわかりません。残念です。
副題に「禅的思考の源流へ」とあるように、荘子の考え方がインドから伝わってきた仏教の経典を翻訳する際にかなり入り込んでいるのではないか、というのが、この本のテーマのようです。従って、荘子そのものの考え方について知りたい方は、ほかの本に当たったほうがよさそうです。もちろん、荘子そのものの考え方の紹介もしてないわけではないので、この本を読んじゃいけないというわけではないのですが。
仏教の座禅の考え方には、荘子の考え方に通じるところがあるようです。
『荘子 内篇』だけ読んで、そのあとこの本を読んで、『荘子』は終わりにしようと思ったのですが、『荘子』は物語性があって、非常に面白いということなので、いつの日か、「外篇」「雑篇」にも取り組んでみたいと思います。

【目次】
序章 「むずむず」からの旅立ち
第一章 荘子と禅の接近
第二章 坐忘と心斎
第三章 夢みぬ人の夢
第四章 道と徳、そして性と命
第五章 禅的「無」の系譜
第六章 渾沌王子、登場
第七章 和して唱えず
第八章 運りて積まず
第九章 デクノボーと「ご神木」
第十章 道は尿溺にあり
第十一章 ビンボーと病気
第十二章 詭弁の恵施
第十三章 寂寥と風波、そして自適と自殺
第十四章 不測に立ちて無有に遊ぶ
第十五章 「待つ」ことはややこしい
第十六章 運命を占うことの無意味
第十七章 忘れてこそ道
第十八章 明を以うる
第十九章 孟子、見参
第二十章 忠犬ナム
第二十一章 自然と風化
第二十二章 将らず迎えず
第二十三章 逍遥遊
終章 「むふふ」の人
あとがき
索引

●斉物論(22頁)
天からみればすべては斉しく、そう見えないのは人間が自分を中心に据えた勝手な是非善悪を振りかざすからにすぎない。
●真人(40頁)
真人は、寝ても夢をみず、覚めても憂いはなく、食べても旨いまずいを思わず、ひたすら呼吸は深い。
●病気(126頁)
財産がないのが貧乏で、学問しても実践できないのを病気というんですよね。
●泥棒の道徳(153頁)
俺たちにとっては、獲物のありかの検討をつけるのが聖の徳だ。真っ先に侵入するのが勇の徳だろ。そんでしんがりを守って引き上げるのが義の徳ってもんじゃねえか。進退を正しく見極めるのが智の徳だし、獲物を公平に山分けするのが仁だよ。この五つの徳を身につけずに大泥棒になった奴なんかいねえんだよ。
●無為自然(189頁)
「至誠通天」という楽観はなく、天地はもっと非情で無心なものだと考える。いくら誠を尽くしても通じないのが「自然」であり、その自然に従うことこそ天地のように長久たりえる原理なのだ。

☆関連図書(既読)
「孔子『論語』」佐久協著、NHK出版、2011.05.01
「論語」貝塚茂樹著、講談社現代新書、1964.08.16
「論語の読み方」山本七平著、祥伝社、1981.11.30
「老子」蜂屋邦夫著、NHK出版、2013.05.01
「老子」小川環樹訳、中公文庫、1997.03.18
「タオ 老子」加島祥造著、筑摩書房、2000.03.25
「孫子」湯浅邦弘著、NHK出版、2014.03.01
「兵法・孫子」大橋武夫著、マネジメント社、1980.10.25
「洪自誠『菜根譚』」湯浅邦弘著、NHK出版、2014.11.01
「菜根譚」洪自誠著・今井宇三郎訳、ワイド版岩波文庫、1991.01.24
「『荘子』」玄侑宗久著、NHK出版、2015.04.25
「荘子 内篇」福永光司訳、朝日新聞社、1978.07.20
「荘子物語」諸橋轍次著、講談社学術文庫、1988.10.10
(2015年11月10日・記)
(「BOOK」データベースより)amazon
『荘子』はすこぶる面白い。読んでいると、世の中の「常識」という桎梏から解放される。二千年以上前から伝わるこの本は、今に生きる「心の自由」のための哲学なのだ。そしてその思想は、禅の考え方にも深く沁み込んでいる。…あらゆる価値や尺度からまったき自由を獲得した稀代の思想家の、非常識で魅力的な言語世界を味わい、「遊」の世界へ読者をいざなう。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 100分de名著(海外)
感想投稿日 : 2015年11月10日
読了日 : 2015年11月10日
本棚登録日 : 2015年11月9日

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