「倚りかからず」茨木のり子著、筑摩書房、1999.10.07
84p ¥1,890 C0092 (2018.12.16読了)(2018.12.13借入)(1999.11.20/4刷)
茨木のり子さんの八番目の詩集です。15篇の詩が収録されています。
1926年、大阪生まれ
1955年、第1詩集「対話」(不知火社)を刊行
1958年、第2詩集「見えない配達夫」(飯塚書店)を刊行
1965年、第3詩集「鎮魂歌」(思潮社)を刊行
1971年、第4詩集「人名詩集」(山梨シルクセンター出版部)を刊行
1977年、第5詩集「自分の感受性くらい」(花神社)を刊行
1982年、第6詩集「寸志」(花神社)を刊行
1992年、第7詩集「食卓に珈琲の匂い流れ」(花神社)を刊行
1999年、第8詩集「倚りかからず」(筑摩書房)を刊行
2006年、79歳で死去
2007年、第9詩集「歳月」(花神社)を刊行
読売新聞・日曜版、読書欄の「平成時代名著50」の一冊として紹介されていたので、読んでみることにしました。73歳のときに出版された詩集です。
年齢のせいか、肩の力が抜けてそこはかとないユーモアが漂っているという印象です。
「店の名」は、「ある町の/<おいてけぼり>という喫茶店も/気に入っていたのだが/店じしんおいてけぼりをくわなかったが/どうか」と終わります。
「時代おくれ」には、「電話ひとつだって/おそるべき文明の利器で/ありがたがっているうちに/盗聴も自由とか/便利なものはたいてい不快な副作用をともなう/川のまんなかに小船を浮かべ/江戸時代のように密談しなければならない日がくるのかも」という一節が入っています。そんなことがあったんですかね。
「倚りかからず」は、「できあいの思想」「できあいの宗教」「できあいの学問」「いかなる権威」にも「倚りかかりたくない」と宣言し、「倚りかかるとすれば/それは/椅子の背もたれだけ」と結びます。
「笑う能力」では、「言葉の脱臼 骨折 捻挫のさま」の事例をいくつか挙げて笑わせて、「気がつけば いつのまにか/我が膝までが笑うようになっていた」と結んでいます。
割と楽しく読ませてもらいました。
【目次】
木は旅が好き
鶴
あのひとの棲む国
鄙ぶりの唄
疎開児童も
お休みどころ
店の名
時代おくれ
倚りかからず
笑う能力
ピカソのぎょろ目
苦しみの日々 哀しみの日々
マザー・テレサの瞳
水の星
ある一行
あとがき
☆関連図書(既読)
「おんなのことば」茨木のり子著、童話屋、1994.08.17
「特別授業『自分の感受性くらい』」若松英輔著、NHK出版、2018.12.30
(「MARC」データベースより)amazon
もはや いかなる権威にも倚りかかりたくはない ながく生きて 心底学んだのはそれぐらい…。 静かに激しく紡ぐ、7年ぶりの詩集。書き下ろしを含む15篇を収録。
- 感想投稿日 : 2018年12月25日
- 読了日 : 2018年12月16日
- 本棚登録日 : 2018年12月15日
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