”良心”というものは、本能を生きていた時代から、社会に閉じ込められた際に発生した、人間の<深い病>である。国家等の社会は、苦痛を伴う法を制定することで、債務を約束できる人間とさせた。本来もっていた野性的な本能が外部に捌け口を見出すことができず、人間の内部に刃向かうこととなった。欲望を満たすことのできる、かつての”よきもの”を悪い人間とみなし、その反対の自分たちこそ善い人間であるとみなすことで道徳的概念が生まれた。反動と怨恨の本能こそが、文化の真の道具である。このような人間は自らに向けた拷問をさらに鋭いものとし、その究極として「神」に姿を変えるようになった。人間の問題は「何のために苦悩するのか?」という叫びに答えがないことである。宗教上の司牧者は、弱い人間の怨恨の方向を変える者であり、苦悩の原因を弱い人間自身のうちに求めさせた。そのため自立した個人とは、自己の欲望を否定できる人物となっていった。
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カテゴリ:
宗教
- 感想投稿日 : 2020年3月8日
- 読了日 : 2020年3月8日
- 本棚登録日 : 2020年3月8日
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