悪意の手記 (新潮文庫)

著者 :
  • 新潮社 (2013年1月28日発売)
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本棚登録 : 1872
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手記の書き手である私は、十五の時、酷い病気をします。八〇%が死に至る、という病でした。私は死の恐怖から逃れるため、生それ自体を否定し、全てのものを憎悪するようになります。しかし、死を覚悟していた状況から、私は助かりました。

その後、私は退院しますが、憎悪が私の中の大切な何かをひねり潰しており、虚無を感じます。死ぬことも考えていました。

そんな頃、私はロープで首を吊って死のうとS公園に行き、なぜか親友だったKに出会います。そして、Kを池の中へ突き落とし、殺してしまいます。

私は“人殺しであるという事実を受入れながらも、それに苦悩しない人間になること(p59)”を目指します。

でも、私は悪魔になりきれず、悩み、苦しみ続けていました。

それでも、どんな自分でも最後まで抱えていくしかないのだと、最後は力をもらえました。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 小説
感想投稿日 : 2018年10月27日
読了日 : 2018年10月26日
本棚登録日 : 2018年10月25日

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