さよなら、俺たち

著者 :
  • スタンド・ブックス (2020年7月2日発売)
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感想 : 44
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清田さんが、高校生の頃や大学生の頃の自分を振り返り、客観的にみて今の社会構造と結びつけて考えていることに、上から目線かもしれないが偉いなと思った。人は、誰かを傷つけたりした思い出などは、触れたくないし思い出したくもないのに。
でも、男性の清田さんだけでなく、女性である私も、似たようなことで人を傷つけてきたのではと、居心地の悪さを感じながら読んだ部分もある。
自分がかっこいいと思った人は全て恋愛対象としてみたり、男友達と仲良くなればすぐに恋愛と結びつけて、友達として信頼関係を深めようとかそんな発想がほとんどなかった。それによって傷つけたり、失礼なことをしてしまったことは、きっといっぱいあったし、同性の友達を嫌な気持ちにさせたこともたくさんあったはずだ。
それを思い出すととても嫌な気持ちになるけど、清田さんはそれを言語化して活字にしているのだからすごい。
著者は何度か、今の社会はbeingではなく、doingに人の価値を置いているという。私自身も、そんな風にしか自分を評価できなくなっていて、それが生きづらさなんだろうなと気付かされた。何もなし得ていない自分に、何も持っていないじゃんって思う。
ただ、ちびまる子の話は、ここ数年のまる子は、やたらといい話にされている。お母さんは優しいし、ひろしも娘思い。まる子以外にも、最近のアニメは、友情、家族愛、感動をやたらと強調する内容になっている。それももしかしたらdoingに偏っている傾向の一つなのかもしれない。

と、気付かされたことたくさんあった。私も本を読み、自分の感情や日常を言語化する訓練をしたいと思う。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: ジェンダー
感想投稿日 : 2021年6月12日
読了日 : 2021年6月12日
本棚登録日 : 2020年12月10日

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