ぬるゆると主人公の仕事の日常が進んでゆくので、わたしもゆるゆると読んでいたら、すっかり時間がかかってしまいました。でも、真ん中あたりからは一気読み!最終章で、この作品の素晴らしさが一気にあふれ出します。
主人公は、とても真面目で、だからどんな仕事を任されても、一生懸命になりすぎてのめり込んでしまうんだ。わたしにも同様の素質があるなーなんて思いながら読み進めました。
仕事をする上で感じる細かな感情が表現されていて、それにとても救われました。そして、これまで自分がしてきた仕事や、置かれた環境の中で、とても頑張ってきたんだなーと、自分を労ってあげることができました。
自分自身が今転職を考えているからこそ手にとった本。読みながらずーっと、主人公がどんな仕事に燃え尽きてしまったのかと考えていたのですが、まさかの同じ資格を有する人でした。わたしも少し前に休職して、異動して、今はそこも退職しようとしている身。こんなに転々としていて大丈夫だろうかと主人公同様に思うけれども、まずは自分の心身を大切にしないと、また同じことが起こる、だから今の自分の選択を信じてあげようと思います。最後の、箱田さんの言葉「本筋の仕事でなんかあって公園に来た人みたいやったけど、この仕事で、まあ働けんねやな、と思って、そんでまた自分の仕事に戻ってったらええやん」には、救われました。ずっと逃げていたいわけじゃない、ずっと目を逸らしていたいわけじゃない、ただ、今は疲れていて、でもいつかは本筋へ戻りたい、という今のわたしの心境に、背中を押してもらえた感じがして。
帯で、伊坂先生が絶賛していて、例えば:何気ない会話、特に新しい職場に行った時の業務の説明が伏線となっていて、物語が動く時にその伏線が活かされ、ラストでキレイに回収される様は伊坂作品に通づるものがあるなと、そんな風に思いました。『とにかくうちに帰ります』も、読んでみようと思います◎
- 感想投稿日 : 2019年1月16日
- 読了日 : 2019年1月16日
- 本棚登録日 : 2018年12月3日
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