新年度、ここで出会った彼らと、どんな日々を過ごすのだろう。
そして彼らにとって、ここでの日々はどんな風に残るだろう。
たぶん大人の関わり方によって、それは「人生の糧」になるのだろう。
学校がそういう場所になるように、わたしはいたい。
改めて生活ベースの「生きる」ってことに焦点を当てたいなってことで、長らく積読化していたこちらの作品を読むことにしました。
原田マハさん
ブクログではフォロワーさん全員読んでるんじゃないかっていう作家さんだけれど、わたしは初めて触れました。
美術館や絵画に造詣のある作家さんという印象で、美術館へ行くと同行者を外で待っている時間の方が長いような美術オンチのわたしには、なかなか手が届かなかった作家さんだ。
しかしである。
読んでいてこんなキラキラした作品久々に読んだな、と思った。
読みながらそのキラキラした世界を斜めに見ている自分に鼻白んだ。
わたしは本当に、心をざわつかせてくる作品とか、先の展開が読めない作品が好きなんだな、と改めて感じる。
我慢を美徳とした時代があって、それを今でも美しいとする人たちもいるけれど、「泣き言を言わない嫁が美しい」みたいな場面で普通に主人公が感動しているのにも萎えてしまって、「いやいや、お前はそこ反発しろって!」と、変な応援までする始末。
どうにも主人公である「麻生人生」青年の人間性がブレているように感じてしまって、うまく落とし込めなかった。
最後の方は、かなり強引に読み進めた。
この作品は、人の「強さ」にフォーカスしている。
わたしのように、「闇を描いて光を感じる」タイプの人間には、もっともっと人の「弱さ」を描いてもらった方が、感情移入できたのかもしれない。
だけど生きてく時に大事なのって確かにこういうポジティブなエネルギーなんだよな。
でも現実ってそううまくいかない。
だからこそ、わたしは本を読むし映画を観る。
だからせめて、本の世界では、もう少し弱音を吐かせてほしかった。
でも、フジファブリックを聞きながら実家に帰る電車に揺られて、案の定目が覚めたら田んぼだらけになっていた田園風景の中、水が張られた田んぼを見ていると、心が動いた。
実家を囲むたくさんの田んぼ。
そこを機械が動き回り、稲が植わっていく。
なんというか、それでいいではないかと思ってしまったのだ。
確かに、作品のような手での農作業は必要だけれど、どうしても「古さ」を捨てきれない。
古さを美徳として、それ以外を排除しているような、それが最後まで捨てきれなかった。
なぜ米作りが初めての若者がこんなに米作りに詳しい目線でいるのか、であるとか、こんなにいきなり生きてく場所見つけられるかね…?であるとか、いろいろ思うことはあって、そして何よりこんな風にこの作品をナナメから見てしまう自分が一番嫌で仕方ない。
みなさんなら楽しく読めると思います。
みなさんならすごくポジティブな気分になれると思います。
みなさんなら稲作やってみたいと思うと思います。
- 感想投稿日 : 2022年5月1日
- 読了日 : 2022年5月1日
- 本棚登録日 : 2022年5月1日
みんなの感想をみる