言うまでもない朝井リョウの代表作のひとつ。
タイトルにも出ている「桐島」の周辺の人物たちにスポットを当てた連作短編。
現在の高校生の間では、「スクールカースト」というものがこんなに歴然とし、また表立って見えているものなのかと驚いた。
勿論そういった「ランク分け」のようなものは昔からあった。
吉田秋生の「ハナコ月記」でも似たようなエピソードはあったから、誰しも多かれ少なかれ経験はしていることなのだろう。
ただ、最近触れる若手作家の作品内の学校生活には必ずこういったものが出てくるので、昔に比べて明確に意識されてきているのかなと思う。
そうだとすると、今の中高生って本当に大変だな。
「優秀なバレー部部長が部活をやめる」という事件が、ある人には大きく、ある人にはささやかではあるが影響を与えていく。
様々な立場の人物の物語だが、思春期特有のひりつくような痛みを巧く拾っている。
しかしどの話も基本的に読後は爽やかで、いい意味でまっとうな「青春小説」だなと感じた。
個人的に気に入ったのは「小泉 風助」と「宮部 実果」。
実果の話は結末は予測できたものの、そこに至るまでの彼女の心理描写がよかった。
花屋であることを自覚し、愕然とするシーンが秀逸。
読書状況:読み終わった
公開設定:公開
カテゴリ:
国内作品
- 感想投稿日 : 2017年9月8日
- 読了日 : 2017年9月2日
- 本棚登録日 : 2017年9月2日
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