百花

著者 :
  • 文藝春秋 (2019年5月15日発売)
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人間の寿命は50歳程度であった。それが医療の発展で長生きできるようになると、癌という病気が人間を襲った。それでもまだまだ抗うと、痴呆が生まれた。すごく印象的だった。人間の歪さを感じた。自分の母親がアルツハイマーになることを想像してしまい、心が握り潰されそうになった。いつか、そういう日が来るのだろうか。そのとき自分は、どう感じ、何を考えるのだろう。この小説の特徴的なところは、アルツハイマーと出産を並行して描いて、記憶の生まれるところと消えていくところを表現しているところだ。なんかそれは、生と死よりも妙に人間臭い営みな感じだ。でも、母親がアルツハイマーで記憶が薄れていく以前に、泉がそうであったように、自分だって母親との記憶のいくつを忘れているんだろう。もっと、母親と話そう。今のうちに。今だからこそ。

読書状況:読み終わった 公開設定:公開
カテゴリ: 未設定
感想投稿日 : 2020年6月14日
読了日 : 2020年6月14日
本棚登録日 : 2020年6月14日

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